出版社内容情報
世界五大歌劇場の一つ、メトロポリタン歌劇場。経営陣と歌手、楽団、指揮者、演出家、批評家、そして観客が織りなす130年のドラマ1883年秋、ニューヨークのブロードウェイ39丁目にオープンしたメトロポリタン歌劇場。国立や州立ではなく、ヴァンダビルト、モーガン、ローズヴェルトなど個人出資者たちが資金を拠出しあって持ち株会社の形で設立されたMETは、「民主化した歌劇場」のスタンスを失うことなく、時代の波を潜ってきた。二度の大戦、大恐慌、リンカーン・センターへの移転を経て、労働争議に人種差別問題、冷戦終結、インターネットの席巻……
貴族階級の集まる社交場として発展してきたヨーロッパのオペラハウスとは違い、時代と社会、政治の荒波に揉まれ、常に経営の危機にさらされながらMETが今日に至る道はアメリカの縮図でもある。総支配人の地位をめぐる椅子取りゲーム。大統領が歌劇場の労働問題に関与し、新聞、雑誌は信じられないほどの熱心さで新シーズンのプログラムを報じ、公演のレビューや経営について書いた。
「星の爆発」のニックネームをもつクリスタルのシャンデリアが上がり、舞台の上に奇跡の時間が生まれる。その陰に、経営陣と指揮者、オーケストラ、歌手、演出家、批評家、そして観客が織りなす130年のドラマ。
まえがき
謝辞
第1章 桟敷の問題 1883-1884年 ベルカント
初日/設立にむけて/劇場/『ファウスト』――10月22日/『ランメルモールのルチア』――10月24日/先例/第一次オペラ戦争 /ベルカントの衰退と興隆
第2章 文化の中心地 1884-1903年 ドイツもののシーズンとフランスオペラ
ドイツもののシーズン――1884-1891年/三つの『預言者』/国際化したシーズン―1891-1903年/フランス語の演目が辿った運命の放物線型の軌跡
第3章 オペラ戦争 1903-1908年 『パルジファル』『サロメ』とマンハッタン歌劇団
ハインリッヒ・コンリート/冒涜と堕落 /第二次オペラ戦争――1906-1908年/初演――1906-1908年/初期の幕引き
第4章 現代性 1908-1929年 プッチーニ
体制の交代/大部分はトスカニーニ――1908-1910年/言語の政治学/カルーゾとファーラー――現代の有名人/大部分はプッチーニ――1918-1929年
第5章 苦難の時代 1929-1940年 ワーグナー
大恐慌/アメリカ化 /民主化 / 演目――1935-1940年/ワーグナー――1929-1940年
第6章 戦争の重圧 1940-1950年 指揮者のオペラ
初日――1940年12月2日/『フィデリオ』――1941年2月14日/苦しい試練/演目――1940-1950年/指揮者たち/記念碑的作品/ジョンソン時代再検討
第7章 ビジネスとしてのオペラ 1950-1966年 ヴェルディ
ルドルフ・ビング/1950-1951年/「視覚的な面と演劇的解釈」/競争と批評家たち/立ち見客とサクラ/労使問題/人種問題(カラー・ライン)/演目――1950-1966年/別れ/パリ巡業
第8章 過渡期 1966-1975年 アメリカのオペラ
リンカーン・センター/オープニング・ナイト/アメリカのオペラ/事後検討――1966-1967年 危機に瀕したメトロポリタン/メトロポリス/ビングの最後の主張――1967-1972年/椅子取りゲーム
第9章 絶対的なマエストロ 1975-1990年 20世紀ヨーロッパのオペラとバロック
ジェイムズ・レヴァイン/ブリス、レヴァイン、そしてデクスター、1975-1980年/ブリスとレヴァイン、1980-1985年/ブリスからクローフォードへ、そしてサザンへ、1985-1989年/さらなる椅子取りゲーム
第10章 支援とペレストロイカ 1990-2006年 (帰ってきた)アメリカのオペラとスラヴ語のオペラ
ジョゼフ・ヴォルピ/アメリカのオペラ、1991-2005年/スターの力/METの字幕/当てにならない後援者/ペレストロイカ/その他のプロダクション/帳簿を締める
第11章 新しいメディアの時代 2006-2013年
次世代に伝える/ゲルブの「新しいMET」――2006-2007年/後退――2009-2011年/権力と実行(成就)――2011-2013年
追記
註
訳者あとがき
作品名・役名索引
人名索引
チャールズ・アフロン[チャールズアフロン]
著・文・その他
ミレッラ・J・アフロン[ミレッラアフロン]
著・文・その他
佐藤宏子[サトウヒロコ]
翻訳
内容説明
社会や人々の意識と呼応しながらその姿を変えてきた総合芸術―オペラ。すべてが加速する現代、オペラは、芸術はどんなメッセージを伝えうるか。METの歴史が未来のオペラのありかたを描き出す。
目次
第1章 桟敷の問題 1883‐1884年―ベルカント
第2章 文化の中心地 1884‐1903年―ドイツもののシーズンとフランスオペラ
第3章 オペラ戦争 1903‐1908年―『パルジファル』『サロメ』とマンハッタン歌劇団
第4章 現代性 1908‐1929年―プッチーニ
第5章 苦難の時代 1929‐1940年―ワーグナー
第6章 戦争の重圧 1940‐1950年―指揮者のオペラ
第7章 ビジネスとしてのオペラ 1950‐1966年―ヴェルディ
第8章 過渡期 1966‐1975年―アメリカのオペラ
第9章 絶対的なマエストロ 1975‐1990年―20世紀ヨーロッパのオペラとバロック
第10章 支援とペレストロイカ 1990‐2006年―(帰ってきた)アメリカのオペラとスラヴ語のオペラ
第11章 新しいメディアの時代 2006‐2013年
著者等紹介
アフロン,チャールズ[アフロン,チャールズ] [Affron,Charles M.]
ニューヨーク在住。1935年生まれ。1957年、ブランダイス大学を卒業、1963年、イェール大学哲学博士。ブランダイス大学助教授を経て、1965年よりニューヨーク大学フランス文学科で教鞭を執り、現在、同大学名誉教授
アフロン,ミレッラ・J.[アフロン,ミレッラJ.] [Affron,Mirella Jona]
ニューヨーク在住。1958年、マウント・ホリヨーク大学を卒業。イェール大学哲学博士。ニューヨーク市立大学スタテンアイランド校フイルム研究科で教鞭を執り、現在同大学名誉教授。ラトガース大学出版局のPrint and Rutgers Depth of Fieldシリーズの共同編集者
佐藤宏子[サトウヒロコ]
1934年生まれ。東京女子大学文学部英米文学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。マウント・ホリヨーク大学大学院修士課程修了。イェール大学大学院アメリカ研究科研究員。東京女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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