出版社内容情報
著書『イワナの夏』でも知られる名編集者が編む川釣り文学アンソロジー。河合雅雄、舟越保武、開高健、高橋治らの13篇が書斎に涼風を吹き込む。
内容説明
釣りという遊びをいかに楽しむか。小説家の名品から、釣り師の随筆、芸術家や冒険家の釣りエッセイまで、各人各様の奥深い感覚を味わえるアンソロジー。
目次
山中暦日(辻まこと)
横谷源流(舩井裕)
ねずてん物語(山本素石)
おばけ鮒と赤い灯(河合雅雄)
チロルに近い高原の小川でカワマスを十一匹釣ること(開高健)
アカメ後日譚(高橋治)
後山川の夜(舟越保武)
猿猴川に死す(森下雨村)
グダリ沼(井伏鱒二)
吉井川(野田知佑)
座談の名手ジム・リパイン(西木正明)
キャンベルリバーのキングサーモン(夢枕獏)
著者等紹介
湯川豊[ユカワユタカ]
エッセイスト。1938年、新潟市生まれ。1964年~2003年、文藝春秋に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぱせり
5
釣り師たちが釣っている(?)魚以外のものが羨ましくて釣り人ではない自分のことを残念に思ったりする。釣りの事を書いているのにその周辺に興味があるなんて、失礼かなとも思うけれど、案外、著者たちも本題の釣りよりも周辺について書くことのほうを楽しんでいるのではないかと思ったことが何度もあったから、きっとこれでいいのだ。2020/10/14
kiho
2
釣りに行くことはほとんどないけれど、魚を追う気持ちと、釣り場の情景がそれぞれの作者の筆致で書かれたエッセイは、読み手にも醍醐味が伝わる☆川や海の匂いまで漂う読み応えある一冊♪2012/10/28
ヒツジ
2
釣りをテーマに編まれたエッセイ集。釣り場の風景がわ~っと立ち上ってくる名文がいっぱいです。色々な釣魚が配されていて、読んでいて釣りに行きたくなりました。2012/08/27
azuno
1
絵本の「ねずてん」(絶版本で当地域の図書館にはない。)を検索していたら「ねずてん物語」がヒットして本作を知る。なんとみすず書房!(大学の時、テキストに買わされたのを思い出す。)非常に上品な本で高名な作家の作品も多々。ただ日本国内の話だけでまとめてもよかったのでは。自分は海外の話は飛ばしてしまった。結局井伏鱒二は一匹も釣ってないのがおかしかった。最後の幸田露伴「蘆声」がさすがで全体を締めていると感じた。2018/12/08
コウジ
1
釣りが趣味の文化人によるエッセイ集、例の如く、東京堂書店さんで購入。本来は釣り好きの友人へのBDPとして購入したのだけれど、読了前、後、に贈呈しようと変わらないと思い少しのつもりで読んだら、これが面白い。 目指す釣りポイントへの渓谷探索や、エピソード等、視点も様々、幸田露伴の最後の短編はとても感慨深く、自分が居住する地域の昔の情景や人の情け等も紡がれていてとても好感が持てる内容でした。氏の誠実な態度や感受性、古い日本語の美しさなども感じ取れ、「美しい作品」となって居る事請け合います。2017/08/05