出版社内容情報
岡山の天体観測所での日々の記録『天文台日記』で知られる天文学者にして文筆家、故石田五郎。本書は星に姿をかえたギリシア神話の神々から、正倉院の御物、落語「藪そば」の与太郎まで、古今東西の文学や美術、芸能に登場する天体のエピソードや、「山で見た星」について、飄々たる滋味溢れる筆致で綴る。星空が身近になるエッセイ集。
内容説明
天文学者にして文筆家。文学と芸能と山を深く愛し、そこに現れた星々の魅力を飄々たる文章で綴る。『天文台日記』で知られる著者の全貌を伝えるエッセイ集。
目次
天の章(星空の歳時記;星座についてのリマーク;天体写真の上下・うらおもて;七夕と天の川;ハレー彗星、ええじゃないか;去りゆくハレー彗星;流星の美学;隕石と天変;三日月と有明月;八丈島日食のこと)
地の章(山で見る星;岡山ぐらし;寺と星と;外国の天文台)
人の章(亡き人のこと;抱影をめぐって;みる・きくの楽しみ;星と健康)
著者等紹介
石田五郎[イシダゴロウ]
1924年(大正13)年2月、東京上野に生まれる。1948年3月、東京帝国大学理学部天文学科卒業。1949年東京大学助手となる。1984年4月、東京大学教授退官。この間、三鷹天文台に1年、麻布狸穴の天文学教室に9年、岡山天体物理観測所に24年を過ごす。1986年、東洋大学教授。1992年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
58
「星の抱影」こと野尻抱影とのハガキのやりとりがすごい。著者が抱影の後、「天文屋」の2代目を自称したのも当然だろう。それが実は歌舞伎にならったものだったことも、本書で察しがついた。こういう多趣味な先生が天文学者にいたことは、天文学にとって幸いだったと思う。『天文台日記』の次に読むべき本。ただ残念なのは、私に歌舞伎の知識がないことで、もちろん私の責任。2019/01/18
ひさしぶり
15
天文屋二世の誕生の逸話が良い。野尻抱影の「星座神話」に魅せられて土曜のたびに通って本が売れてないか背表紙を確認し4か月後手にする少年。まさに星座と神話伝説から花園の中を逍遥し花物語を聞いてから天文学に入る。野尻氏とのハガキのやりとり。星の話のみならず古典芸能、古寺仏像の話までいろいろ。2019/10/09
ぱせり
4
三つの章(天の章、地の章、人の章)の内、もっとも大きい章は天の章だったけれど、天空を語る言葉も、人との出会い(別れ)を語る言葉も、隔てがなくて似ているように思えた。親しんだ人や、その人たちの思い出が残る土地、出来事を語るように、あるいは会話を採録するように、天の話も語って聞かせてくれた。2021/05/15
りみ
4
天文学者のエッセイ集。何十年も昔の話で、天文界隈とか趣味の歌舞伎の話等、難しい話が多かった。清少納言とか紫式部が出てきた辺りが面白かった。あと、星空を見ながら奥さんに色々と解説してる話も面白かった。星でいうと、カノープスが気になる。見てみたいなー。冬に南の空のめっちゃ低い位置でしか見れないらしく、一般的では無さそうだけど、、いつか見てみたい! 星の話のエッセイ集、盲点だったし他にも探してみよっと。2019/07/12
わにっこ
3
天文台日記は天文台中心の話でしたが、こちらは日常や趣味、人にまつわるコラム。歌舞伎や舞台の「月の向きや月齢」が気になってしょうがない!など天文屋らしいこだわりがたくさんつまった本。挿絵があったらもっとわかりやすかったかも。愛犬コロの話もあります。2012/01/19