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読書癖〈1〉

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  • サイズ B6判/ページ数 225p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784622045410
  • NDC分類 019.04
  • Cコード C0095

出版社内容情報


全4巻。

「暇な時には手近な本に手を伸ばし、忙しい時におもしろい本にひっかかって舌打ちをする。旅で地方都市に行けば、名物料理おみやげ古道具の類は頭から無視しても古本屋はついついのぞく。つまり、読書や本との交際は趣味や義務や仕事ではなく、性癖なのだ。暇をもてあまして貧之ゆすりをする者がおり、身代を博打でするうつけ者がおり、さんざ女に騙されても好色の気の抜けない道楽亭主がいるのと同じように、世の中には本というものにからめとられる人生もある。つまりは癖、読書癖というものではないだろうか……同じ癖をお持ちの御人ならば少しは楽しんでいただけるかもしれない。そういう本であり、そういう著者である。」(あとがき)

『薔薇の名前』から理科年表、李賀の詩から石川淳の力学へ、また童話からSFへと、扱う対象はじつに多様、まことに壮観である。しかし著者の手さばきはしっかりと一点、すなわち“読みふける喜び”に集中している。書巻の気に充ちながらも風通しのよい文章によって展開する、本と読書をめぐる秀抜なエッセー=書評97篇。


池澤夏樹(いけざわ・なつき)
1945年北海道帯広市に生まれる。埼玉大学理工学部中退。1975年から3年間ギリシアに滞在。1987年『スティル・ライフ』で中央公論新人賞及び第98回芥川賞を受賞。詩、小説、評論、翻訳。主な著書は長篇小説として『夏の朝の成層圏』、『スティル・ライフ』、『真昼のプリニウス』(以上中央公論社)、『バビロンに行きて歌え』、『タマリンドの木』(文藝春秋)、『南の島のティオ』(楡出版)、『マシアス・ギリの失脚』(新潮社)、短篇集として『マリコ/マリキータ』『骨は珊瑚、眼は真珠』(文藝春秋)。詩集に『塩の道』、『最も長い河に関する省察』『池澤夏樹詩集成』(共に書肆山田)。エッセー、評論として『見えない博物館』(小沢書店)、『ブッキッシュな世界像』(白水社)、『ギリシアの誘惑』(書肆山田)、『インパラは転ばない』(光文社)、『都市の書物』(太田出版)、『シネ・シティー鳥瞰図』(中公文庫)、『南鳥島特別航路』(日本交通公社出版局)、『エデンを遠く離れて』(朝日新聞社)、『読書癖』全4巻(みすず書房)、『母なる自然のおっぱい』(新潮社)、『海図と航海日誌』(スイッチ・パブリッシング)、『楽しい終末』(文春文庫)、『むくどり通信』『むくどりは飛んでゆく』『むくどりの巣ごもり』『むくどりしゃっきん鳥』(朝日新聞社)、『小説の羅針盤』『ハワイイ紀行』『明るい旅情』(新潮社)、『クジラが見る夢』(新潮文庫)、『未来圏からの風』『やさしいオキナワ』(PARCO)、『沖縄式風力発言』(ボーダーインク)、対論『沖縄からはじまる』(共著、集英社)など。

内容説明

読書とは趣味や義務や仕事ではなく、それはひとつの性癖なのだ。石川淳からミステリー、理科年表、童話まで、本と読書をめぐる風通しのよい97のエッセー=書評。

目次

長い歴史の楽しみ方
球場の雰囲気
裸体のストーリー性
記号論学者のミステリー
天文は楽し
数時間のヴェネツィア
恋愛小説
無用の知識
戸田ツトム『断層図鑑』
山根一真『変体少女文字の研究』
日野啓三『砂丘が動くように』
小山政弘『夢の国日誌』〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぐっちー

24
読書という行為への愛憎極まり、仕事とか趣味とかいうフォルダを破壊した先には、『読書癖』という境地があるようです。その範囲は無限で、あらゆるジャンルに言及があって、書評とかエッセイとかの枠に収まらない。貫かれた読書癖の姿勢は刺激的で奥深く、どんどん自分も抽斗が増えてゆく気にさせてくれる。楽しかった。『薔薇の名前』がまだ翻訳されてない頃!しかし古さを感じなかった。全4巻制覇したい。2015/08/26

還暦院erk

8
図書館本。高島俊男『本が好き、悪口を言うのはもっと好き』で紹介されていた、短いが初め終わりがピシリと決まって見事な書評集。また読みたい本が増えてしまった。書き手体験を追いかけたくて、冒頭部などをいくつも書き写して楽しんだよ。例えば:昔、まだ学校で勉強していたころ、アメリカの子はいいなと思った。なにしろ歴史が短い。その分だけ勉強が楽ではないか(「長い歴史の楽しみ方」…『大系・日本の歴史』全15巻書評)。ラスト部分で秀逸な例:小説の世界は、現実と違って、ほんの少しだけあなたに有利にできている。(出典内緒♡)2021/01/11

三柴ゆよし

8
本書と『嵐の夜の読書』の著者近影を見比べると隔世の感がある。2016/12/14

メイロング

5
読みやすい中に一本のしっかりした骨のようなものが通っていて、昔の書評なのに古びていない感じ。およそ見開きで読み終わる短い文章なのに、一気に読まんとすると疲れていくのはそのせいか。それでも20年前との時代の差はあるもので、「未来では○○になってるんだよ」と教えてあげたくなるところもちらほら。ところで裏表紙の著者近影が「誰これっ」てくらい別人。2012/10/05

さくら

3
「自分と同じ誕生日の作家さんの作品を読む」という読メのイベントに参加したのがきっかけ。こういう視点で読むのもアリだな。文章の書き方が好きで、次も読みたい。2016/02/08

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