内容説明
父・勝小吉、初恋の人・島田虎之助、夫・佐久間象山、兄・勝麟太郎(海舟)、謎の剣客・村上俊五郎、さらに松陰、龍馬、土方歳三らも登場する幕末から明治を描く長編歴史小説。
著者等紹介
諸田玲子[モロタレイコ]
1954年静岡市生まれ。上智大学文学部英文科卒。96年『眩惑』でデビュー。2003年『其の一日』で第24回吉川英治文学新人賞を、07年『奸婦にあらず』で第26回新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さなごん
19
勝海舟、江戸城無血開城ということしか知らなかったけどその裏にはこんなドラマがあったんだなあ。お順さん、最後は失敗しちゃったね2015/09/27
Mayu
13
面白かった。幕末期の喧騒を渦の中からではなく、生活の中の女目線から眺めている。しかも、順は幼少時代は困窮した生活をしながらも、兄の勝海舟のおかげで、その後の暮らしぶりは困窮とは言いがたい。順自身は好きにはなれないけれど、当時の女性の立ち位置であったり、一夫多妻の中での子の育て方、また、長男が妻子だけでなく、親兄弟の生計までも面倒を見るという構図を知り、男を立てるという昔の人の考えがここに根付いているのかと解った。歴史を知るというのは、そこから生まれてきた思想を知る事なのだなぁと発見した。2018/11/17
小音
11
諸田さんの「美女いくさ」が好みでしたので読んでみましたが、とても興味深く読めました。海舟の勝気な妹から見た幕末、維新、明治が面白かったです。この時代の歴史上の人物の成し遂げた事柄よりは、女性の目線で見た人となりが描かれている分リアルに想像できたきがします。「あとがき」には、諸田さんとこの本を書くことの縁の深さを感じる事実が書かれていてとても印象的でした。歴史小説にはめずらしい感じの表紙の絵もこの本にはとても良く合っているきがします。2011/01/14
アカツキ
10
初恋の人・島田虎之助が突然倒れて亡くなり、佐久間象山の妻になったお順。象山の役に立ちたいという使命感が先立つ結婚生活だったが、コレラに罹ったお順を象山が献身的な治療で治したことからすっかり打ち解けて本当の結婚生活が始まる。しかし、京で象山が斬り殺されて…。仇討ちだと騒ぐお順は虎之助に似た男・村上俊五郎にときめくが、酒癖と女癖の悪さに気付いて縁を切ろうとする。食い下がる俊五郎のクズエピソードで終盤のページが埋まって残念。著者と勝海舟のつながりに驚く。まさに御縁という感じ。2022/01/06
onasu
6
執筆のきっかけは、半藤一利氏との対談だったとか。勝先生ものの裏には、半藤先生あり。 下巻は、吉田松陰密航に関わったことによる象山の江戸退去、松代での暮らし、象山の暗殺、村上俊五郎との出会いと決別と続いていく中で、時代は明治維新を迎えます。お順は、維新直前に母:信の看病のため、江戸に戻り、以後、勝家と共に、江戸、静岡、東京で暮らします。 維新に関係する人物が、ほぼ勢揃いです。異才を放つ筆頭は無論海舟。お順も時代に翻弄されます。現代であれば、活躍できたであろうに。終章は、飛びすぎかな。2011/04/30