内容説明
下町ブームをつくった雑誌「谷中・根津・千駄木」の編集人として知られる著者が、生まれ育った町の話を中心に、東京の町について綴ったエッセイ集。生粋の「町っ子」ならではの視点で、そこに暮らす人々や店、路地や町角に息づく豊かな文化を描き出している。
目次
1 町を深呼吸する
2 町の達人たち
3 町に深く潜入する
4 ちょっとした疑問
5 いろんな町に行ってみる
6 後ろ向きに前進する
7 本で町を読む
8 町はモザイク
著者等紹介
森まゆみ[モリマユミ]
1954年東京都文京区生まれ。早稲田大学政経学部卒業。84年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊、2009年の終刊まで編集人を務める。98年に『鴎外の坂』で芸術選奨文部大臣新人賞、03年に『「即興詩人」のイタリア』でJTB紀行文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
78
路地の匂い、いいなあと思ったけど、一般的な路地ではなく上野や台東区付近と思われるあたりで、あまり土地勘がない分、十分に楽しめなかった。地元の人や、ここらへんの路地をよく訪れる人には郷愁をよびおこすだろう。私にとっては、子供の頃の路地は新興住宅街か、叔母の家のあった完全な農村の一角。ここで紹介される路地は、今は懐かしく感じても、おそらく江戸や明治から続いたり、漱石や龍之介の作品にふと出てくるような地域なのだろう。こんなところに普通に暮らす人々がうらやましくなる。2014/12/12
奥澤啓
19
かつて読んで共感を覚えた。谷根千ではないものの、私は下町の似たような文化圏で生まれ育ったため、森まゆみが描く世界に親近感を持ちつづけている。文庫化され、このところ活躍がめざましい政治学者の中島岳志氏の解説を読みたいばかりに再読した。谷根千はなんども訪れ、テレビでもよく紹介されるので雰囲気はよく分かるけれど、私は土地の人とつながりがない外部の人。森まゆみは市民運動家としても知られ、現在は新国立競技場建設案に再考を求める活動に忙しいようだ。その活動は市井の生活者の視線や視点をうしなうことがない。 2014/10/22
sakase
3
谷根千の生き字引 森まゆみさん。 先日 記憶の蔵でイベントを開催したとき やまさきさんと ともに大変お世話になりました。 まさに 町のかおりと響きを感じる本です。 ☆42016/06/02
chinayo
1
懐かしい昭和の風景が見えました。2019/09/14
ききょう
1
谷根千、に興味を持ってから、さっそく購入して、読み始めました。けれども…世代の違いか、生きてきた土壌の違いか。これが、地域紙の分野であるならば、それで、いいのだけれど、わたしは羨ましいばかりで。わたしとは少し方向性が違うかな、という作品ではありました。ただ、こういう考え方を否定はしません。それだけの想いがあったから、地域紙を立ち上げられたんでしょうから、そのパワーや愛には敬服します。しかも、本当に丁寧な、ほっこりするような表現で地域を表して…でも、視野が届かない部分をどうしても思ってしまいます。2014/03/26