内容説明
「口では本音言うたらあかんけど、することは本音のしたいこと、したらよろしねん」(「お手紙下さい」より)。男女の心の機微をあまさず描いた、名作5篇を収録した傑作短篇集。小説を読む喜び、至福の時間をあなたに。
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
1928年大阪生まれ。樟蔭女子専門学校国文科卒。’64年「感傷旅行」で、第50回芥川賞を受賞以降、受賞多数。古典の現代語訳やエッセイも手がける。’95年紫綬褒章受章、’00年に文化功労者となり、’08年文化勲章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
105
普通の男女の恋愛を描いた小説がなぜこれほどまでに面白いのだろうか。特に励ましの言葉が出てくるわけではないのに、田辺さんの本を読むと厄介ごとだらけの人生もそれほど悪くないと言う気がしてくるから面白い。ユーモアとタフな人生経験に裏打ちされた優しさが田辺さんの世界の核ではないか思う。2014/10/12
優希
66
面白かったです。カラリとした感じの恋愛短編集ですね。男女の心の機微を描きながら、友達以上恋人未満のような微妙なラインで関係は成り立つのかというところを求めているような気がしてなりません。爽やかな恋愛小説ばかりで心地よいです。2018/07/02
sasa-kuma
14
「きみはポラリス」を読んで恋愛小説に心が傾いてきているので、次をいろいろ模索していたのですが、そうだよ田辺さんだよと思い当たりました。いいです。ジメジメしてなくて、さらりと大人で、心がキュッとなったり、ふわりとなったりする。いい本。長谷川洋子さんの装画がとても好き。2021/02/03
桜もち 太郎
7
カラッとした大人の恋愛物語。泥沼のような話も、田辺さんの手に掛かると湿りっ気が全くなくユーモア一杯になってしまう。とにかく面白い。毎度のあとがきでは「恋愛を書かないと小説ではない」に納得。そして「口説き方の手ほどきだって、小説には書いてあるんですから」には何となく夢が広がる言葉に思えた(笑)2014/10/31
星辺気楽
4
親友以上、恋人未満。男女間に友情はあるのか?という永遠のテーマのような小品集。いずれにしても、こんな爽やかな人間関係ができたら、どんなに幸せだろうかと思える。2016/09/04