出版社内容情報
ヒトラーに象徴される現代の群衆迷妄・狂気の精神状況を〈ヨーロッパ価値崩壊理論〉によって解明する。新しい民主主義論を模索・提唱した代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kero385
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「群衆の心理」は、ヘルマン・ブロッホが生前自ら付けた題ではなく、それに類する5つの論考をまとめて邦訳者が付けた題。元の本は、ドイツで出版されたブロッホ全集の該当巻を翻訳したとのこと。全体で560ページの大著で、特に巻頭の未完ながら240ページに及ぶ「仕事の計画としての自伝」は、はじめは自分の著作と経歴に沿った記述であったが、いつしか大規模に、ブロッホの価値崩壊とその果てに訪れる群衆狂気、その典型であるファシズム(そして共産主義をも含んでいる)の発生と分析、そしてその解消の考察が展開されていく。2025/05/11