内容説明
政敵右大臣の娘朧月夜との密会の露見により、須磨・明石で憂愁の日々を送る光源氏。しかしその地で明石の君と出会い、姫君を儲ける。やがて、帰京し政界に復帰した源氏は権大納言・内大臣と昇進して栄華をきわめてゆく。本文に忠実な語り言葉の最上の現代語訳誕生!
著者等紹介
中野幸一[ナカノコウイチ]
早稲田大学名誉教授。文学博士。専攻は平安文学。2011年瑞宝中綬章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gorgeanalogue
11
「この人誰だっけ」という人が増えてくる。ところで源氏の美しさへの賛美と対照的に、みんなよく泣いている。嘆いているのは確かだろうが、王朝語の「泣く」が、我々が実際に涙を流して「泣く」というのとはちょっと違ったニュアンスなのかもしれないと考えると、現代の日本語にしてしまうとやや違和感が生じるということかもしれない。と思って『王朝語辞典』の「なみだ」を見てみたら、「紫式部の夫藤原宣孝は、手紙に朱の点々を散らして「私の涙の色」といって寄こしている(紫式部集)」(鈴木宏子)とあってなんだか笑ってしまった。2021/11/17
水月
5
須磨~松風までを収録 官職を解かれ須磨送りとなった源氏の細々ともの寂しくお嘆きになる様子や明石の娘との出会い、昔情を交わした方々をお思いになる様子が描かれている。帰京し政界復帰後の今まで以上に輝きを放つ様が印象的。2018/06/23