内容説明
日本古来の“伝統”文化は、いつどのように“伝統”になったのか?“近代”の殻を破り、より長い時間、より開かれた視野を知覚するとき、そこには先人たちの思慮と智恵とが見えてくる…。
目次
第1章 ハクシに返してどうなった?(なぜ八九四年に?;なぜ遣唐使は送られなくなったのか?;それでも人は行き来する―寧波という町 ほか)
第2章 「海外」は別の世界?―海を渡った三人の人物(平安後期に宋に渡り、宋に没した成尋;成尋は「遣宋使」だった?;日本、朝鮮、中国に渡って見る「応永の外冦」 ほか)
第3章 日本に「儒教」はあるのか?(儒教とは何か?;仏教のお坊さんが持ち帰った「朱子学」;江戸時代の儒者たち ほか)
著者等紹介
小島毅[コジマツヨシ]
1962年生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科助教授。専攻、儒教史、東アジアの王権理論。儒教が果たした政治的・社会的役割を通じてその世界史的意義や、日本や中国の「近世」の意味を検討している。2005年から文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成」の領域代表を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yoshihiro Yamamoto
2
B+ 最近、大陸との往来は、今の我々が考えている以上に頻繁であり、「大陸→日本」という一方通行の往来ではなく、意外と互恵関係にあったのではないかと思うようになってきた。この本のタイトルは、私の知りたいことが書いてありそうな気がしたので、読む気になった。「国境という概念は、今でこそ線だが、古代は面的であった」という記述に我が意を得たりの思いがした。「境界をまたぐ人びと」という本を紹介していたので、この本も早速読んでみようと思う。菅原道真が遣唐使を「中止」してからのことも詳しく推測しており、当時が伺いしれた。2021/08/28
メルセ・ひすい
2
8-42 赤71 中国史専攻 分かりやすい、初心大学生向き これまで儒教や王権論を扱ってきた。東アジアの日本海を舞台にした文化交流史。それが遣唐使の時代から倭寇をへて、儒教の受容史まで論ずる。倭寇の盛衰を経済収支から解説する手法は良い良い。日本史を東アジアの中で位置づける客観性も中国文化史の専門家だからこその鳥瞰。 2007/04/30
sfこと古谷俊一
1
東アジア世界のなかの日本2008/06/01