内容説明
「卑弥呼」は新井白石が説くように、「日御子(ひみこ)」をあらわすのか。本居宣長、内藤湖南、坂本太郎などが説くように、「姫児(ひめこ)」「姫子(ひめこ)」なのか。松下見林、白鳥庫吉らの説くように、「姫命(ひめみこと)」の略なのか。『魏志倭人伝』にあらわれる「倭人語」を、当時の中国音にもとづき、「万葉仮名の読み方」の原理で解読すると、卑弥呼たちは、はっきりと、日本語の一種いえるものを話していたことになる。『魏志倭人伝』のなかに記されている「倭人語」は、さかのぼりうる最古の日本語である。いま、解明の方法が整い、千七百年まえの原始日本語の姿が明らかにされた。
目次
プロローグ 弥生時代の「ハイ」「イエス」―うけこたえの声、「噫」は、どんな音をうつしたのか?
第1章 「倭人語」入門―「不弥」は、「宇美」と読めるのか?
第2章 鍵は「万葉仮名」にある―どのような手続きで読むのか?
第3章 「卑弥呼」は「ひみこ」と読めるのか―「日御子」か、「姫子」か、「姫命」か?
第4章 浮かびあがる「邪馬台国」―「邪馬台国」と「大和朝廷」との関係は?
第5章 地名と人口から見た倭人の国々―「投馬国」はどこか?「華奴蘇奴国」とは?
第6章 解読についての討論―これまでの読み方の妥当性は?
第7章 新釈「倭人伝」―「長大」の意味は?「仮授」とは?
著者等紹介
安本美典[ヤスモトビテン]
1934年、中国東北(旧満州)生まれ。京都大学文学部卒業。文学博士。現在、産能大学教授。『季刊 邪馬台国』編集責任者。専攻は、日本古代史、言語学、心理学
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