内容説明
昭和十四年秋、土門は美術評論家・水沢澄夫に伴われて初めての室生寺を訪れた。これが人生を決定づける出会いとなる。以来、生涯をこの小さな寺に賭け、四十年にわたり通って通って通い詰めた。それは車椅子生活になってからもつづけられた。レンズを通して写す室生寺の自然と堂塔、そして仏像の映像から、土門は、いったい何をつかみとろうとしたのか?それほどまでにこの寺に執着したのはなぜだったのか。
目次
序章 数えきれない室生寺行
第1章 ぼくの中心テーマは日本人
第2章 鏃少年が報道カメラマンに
第3章 水沢澄夫との古寺巡り
第4章 国破れて室生寺あり
第5章 宿願の写真集『室生寺』
第6章 魔の爪痕『ヒロシマ』
第7章 わが愛惜の『古寺巡礼』
第8章 花と雪の『女人高野室生寺』
終章 何という果報者なのだろう
著者等紹介
都築政昭[ツズキマサアキ]
岐阜県立情報科学芸術大学院大学教授(映像表現論)。1934年生まれ。59年、日大芸術学部映画学科卒業後、NHKカメラマンになる。87年、九州芸術工科大学教授。2000年から現職
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感想・レビュー
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うしろや
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土門拳の写真家としての中心テーマが「日本人」だとは思いもしなかった。寺・仏像の写真しか見たことないけど、それでもテーマは日本人らしい。1000年前に日本人って思ってる人どんだけいたのかな。 仏像の写真はなかなかむずかしい。現地で見る仏像より良かったりする。寺じゃ暗かったり遠かったりでよう見えんからなあ。光当ててアップにして角度を決めて撮る写真に見劣る仏像ってけっこうあるよなあ。 大好きな室生寺はね、十一面さんも釈迦如来さんも新しいところに移られて展示物になりましたよ。生きてはったらどう思いはるかなあ。2021/12/06