内容説明
白蛇伝―蛇が変身して美女となり、若い男と恋に落ちる―。人々にひろく愛され、小説、劇、映画の題材として人気を博するこの物語は、どこで誕生し、いかにして語り伝えられてきたのだろうか。中国明末の小説「雷峰塔」から説き起こし、英国の詩人キーツの抒情詩「レイミア」の魅力を語り、さらに遙かギリシア・インドへと、ルーツ探求の旅は続く。ときに恐ろしく、ときに愛らしい蛇女の変幻自在な魅力を追う、世界スケールの愉しい文学散歩。
目次
第1章 白娘子とレイミア
第2章 『白蛇伝』の淵源
第3章 『白蛇伝』と民話
第4章 レイミアの出自
第5章 ギリシアの蛇女
第6章 唐とギリシアの間に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
39
日本初の長篇アニメ「白蛇伝」(1958年)の、ルーツを求めてはるばると大陸を横断。中国からイギリスまで、隠れた東西交流というものが、いつかどこかであったに違いない。壮大なテーマです。本書を読むと、東映アニメ版「白蛇伝」は、邪悪さを排除して、美しさを選りすぐってロマンに仕立てた(だからこそ、子どもにも見られるアニメとなった)ことがわかる。これも極東まで達した、物語のヴァリエーションのひとつとみるべきかも。2017/12/16
miroku
30
神話における蛇に興味がある。にしても、やはり南條さんの文章は読みやすくて良い♪2018/01/10
misui
6
「白蛇伝」物語の起源を求めて中国、イギリス、ギリシアやインドへと文献を渉猟する。最終的に東漸説に落ち着いているがちょっと説得力に欠ける気もする。それにしても何度も似た話を読まされて大層疲れた(ゲーテの「コリントの花嫁」はエロくて良かった)。南條竹則らしいディレッタントな一冊。2018/04/26
ユキ
2
『白蛇伝』物語のルーツを求めてギリシャや小アジアなど、様々な地域の伝承との比較検討が行われる。個人的には、女と蛇という組み合わせの普遍性についての指摘が面白かった。そもそも蛇は大地母神と一体で、豊饒性や女性原理を示すモチーフであるという。そうした蛇神たちが後に興った家父長的原理に基づく文明によって、打ち倒されてきたという歴史があるらしい。そのため類型の説話が各地に残されているのだろうか。 「道成寺縁起絵巻」や法華経の龍女と関係があるかと期待して読んだが、特に言及はなかった。2012/11/08
悸村成一
1
図書館本。 622014/09/23