内容説明
明治日本の人々は、西洋の衝撃に対してどのように応答したのか。異質の文明との対比によって自己を認識し、個人として、また民族としての生き方を将来に向かって問いかけ、方向づけようとした、その努力の歴史を跡づける。明治という“豊富な過渡期”を縦横に考察し、“日本とは何か”を問うた画期的名著。
目次
第3部 西欧化日本と和魂の行方(「普請中」の国日本―森鴎外の短篇とレンジェルの人種劇『颱風』をめぐって;森鴎外の『花子』―見返りの心理;「『生ひ立ちの記』序」について―大正期の鴎外における日本と西洋;尊皇攘夷と開国和親―鴎外作『津下四郎左衛門』をめぐって;ロシア革命と森鴎外―「『天の鍵』序」について;正宗白鳥の『迷妄』―『神曲』と『妄想』との関連で;地下の鴎外が心―遺言について)
付録 中野重治氏の非難に答える
書評(第一級の知的な作品;他者との対決における日本;明晰な論理と豊かな想像力)
著者等紹介
平川祐弘[ヒラカワスケヒロ]
1931年東京生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得(比較文学比較文化課程)。『和魂洋才の系譜』で文学博士号。東京大学名誉教授。著書に、『ラフカディオ・ハーン―植民地化・キリスト教化・文明開化』(ミネルヴァ書房、和辻哲郎文化賞)他。訳書に、マンゾーニ『いいなづけ』(河出書房新社、読売文学賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。