内容説明
なぜパリでなければならなかったのか―。古くから“花の都”と謳われ外国人が憧れたパリ。そこに乗り込んだ作家・芸術家たちは、しかし孤独と乖離のなかで「憧れ」の感情を越え「自立」の模索に苦しんだ。荷風や光太郎、藤村、光晴らに見る近代日本人の“異文化理解”から解き明かされる“パリ神話”とは…。比較文化研究の醍醐味が全編に横溢し、ジャンルを越えて反響を呼んだ大著。
目次
第1部 ボヘミアン文学のパリ(ボヘミアン生活の神話と現実;アカデミー・ジュリアンと文学;日本におけるボヘミアン文学)
第2部 憧憬のゆくえ―近代日本人作家のパリ体験(乖離の様相―高村光太郎;生きられる都市―島崎藤村;徒花の都―金子光晴;貧困と街路の詩学・一九三〇年代パリ―ミラー・ブラッサイ・オーウェル・光晴)
著者等紹介
今橋映子[イマハシエイコ]
1961年、東京生まれ。84年、学習院大学フランス文学科卒業。89-90年、パリ第四大学大学院留学。92年、東京大学大学院比較文学・比較文化専攻博士課程修了。学術博士。筑波大学専任講師を経て、現在、東京大学大学院助教授。専門は比較文学・比較文化。日本近代文学・文化におけるパリを出発点として、その後、〈パリ神話〉研究、異文化理解、1930年代都市論、文学と絵画の相関関係、最近ではパリをめぐる写真と文学などをテーマに幅広く研究・執筆活躍を行っている。94年、本書でサントリー学芸賞および渋沢・クローデル特別賞を受賞。著書に、『金子光晴 旅の形象――アジア・ヨーロッパ放浪の画集』(編著、平凡社)、『パリ貧困と街路の詩学――1930年代外国人芸術家たち』(都市出版)
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