感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
独居202
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書かれてる全体の内容は手塚治虫全集の漫画家や評論家の解説とほぼ同じなのでやや退屈ではあったが、最終章の新宝島についての考察はなかなか興味深い。新宝島について当時を知る漫画家達が口を揃えてコマ割りの多さについて言及しているせいもあって我々もその言葉を盲信してしまいがちだが、著者はそこで思考停止せずに「新宝島神話」に挑み当時の資料を綿密に調べ上げた末に一人称視点の同一化技法が新宝島の真髄なのではないかという結論を導き出す。著者は日本漫画の歴史を紐解く重要な発見をしてしまったのではないだろうか。読んでよかった。2018/07/26