内容説明
ヨーロッパとは何か、ヨーロッパはどこから来て、どこへ行くのか…。歴史と文化の深層を理解するための、最高の執筆陣による画期的書き下ろしシリーズ。
目次
アダムから「言語の混乱」へ
カバラの汎記号論
ダンテの完全言語
ライムンドゥス・ルルスの「大いなる術」
単一起源仮説と複数の祖語
近代文化におけるカバラ主義とルルス主義
像からなる完全言語
魔術的言語
ポリグラフィー
アプリオリな哲学的言語〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
有沢翔治@文芸同人誌配布中
9
言語の起源と正統性は結びつきやすい。その結びつきは時代を問わなかったと指摘。バベルの塔はもちろん神話だが、唯一の言語が正統性を持つという考えは今なお根強い。しかし、果たして本当にそうなのだろうか。本当は幾つもの言語が重なり合って融合していったのではないだろうか。この主張を踏まえると、ヨーロッパ大陸の各言語で出版されたことも意義深い。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51494134.html2018/01/11
Saiid al-Halawi
9
人類が最初に手にしたとされる始祖たる「アダムの言語」と、全くの普遍性を備えた完全言語とを峻別して、徐々に後者を誕生させんとする試みの歴史と、そのそもそもの実現可能性を論じていく、という流れ。 表現形式に落とし込まれる前に事物の持つ概念的範囲を規定していく意味論的作業は言語以前の完全に哲学的な範疇に含まれ、更に表現の側では類似のカテゴリーの語が厳格で規則的な体系の下、似通った形式で出力される場合には情報の受け手にミスの許されない解釈の困難が生じる、など。 結局難しいよねっていう着地。2012/10/23
ユーディット
2
素晴らしい。小説のような研究書2010/03/21
デコボコ
1
具体的な例の話も多くて面白いのは流石(円城塔ファンも必読では)2018/02/08
のほほんなかえるさん
1
素敵な理想論。知的探究としては興味深いところはあるが、本書の思想自体を受け入れるには難あり。たとえ完全な言語ができたとしても、それでもなお語りつくせないものの存在は残されることになるだろう……。と思ってしまう。世界がもっと単純だったらいいのにね。2012/08/08