出版社内容情報
御伽草子など物語世界で、異界の境にいる女たち、またその物語と絵を作り、もたらす女たち。女たちと物語との深い関係を説き明かす。
恋田 知子[コイダ トモコ]
内容説明
お伽草子などの物語世界で、この世との境にいて人々をあの世へと引きずり込む女たち。そうした物語を語り伝え、また絵巻や絵本に仕立てて物語という異界を現実世界に実現する女たち。そして物語を罪あるものととらえ、供養する営み。物語と女たちとの、多層にわたる深いかかわりをとらえる。
目次
1 異界へいざなう女(洗濯する女;男が蛇になる理由 ほか)
2 源氏物語を供養する女(源氏供養の誕生;源氏供養の儀礼と女院 ほか)
3 嫁入り道具としての奈良絵本(叢書としての奈良絵本・絵巻;同じ筆による奈良絵本 ほか)
4 尼と絵巻(無欲の聖、真盛上人;真盛の往生伝記 ほか)
著者等紹介
恋田知子[コイダトモコ]
1973年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、国文学研究資料館助教。専攻、日本中世文学。2009年日本古典文学学術賞、2013年人間文化研究奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NyanNyanShinji
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本書の構成は、「一 異界へいざなう女」「ニ 源氏物語を供養する女」「三 嫁入り道具としての奈良絵本」「四 尼と絵巻」となる。本書のタイトルと同じ章名を持つ第一章は、酒呑童子の鬼が城の前の川で洗濯する娘(原型は老女)や、三途の川の奪衣婆やこの世とあの世をつなぐ境に登場する老尼など、説話に登場する異界とこの世の境界に登場する女性について大変興味深い論考がなされていた。しかしながら二章以降では付け足しの様で、興味深い内容ではあったのだけど統一感が取れていない印象を受けた。微妙。2023/10/15
紅林 健志
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奈良絵本の享受や制作に関する部分が勉強になった。2022/06/18