内容説明
孔子が、釈迦が、ソクラテスが、思想史の黎明期を築いた「言文一致の哲学」を、世紀末の現代によみがえらせることは可能か。話すように書き、書くように話す―このことによって時代の病いは容赦なく暴き出され、思想の課題が鮮やかに提示された。笑い、怒り、考え、語る、等身大の哲学が、ここにある。
目次
1 佯狂賢人経綸問答(救援のコンドーム;博愛刑;究極のエコロジー ほか)
2 自己との対話(女人禁制は女性差別か―差別でなぜ悪い パラダイム自体を問い直せ;イヤラシサを忘れた民主主義者たち―ポルノ狩り市民運動のイデオロギー;カップルと世界 ほか)
3 賢者たちの饗宴(「困ったちゃん」とは何か―内田春菊「今月の困ったちゃん」対談;大人の世界―シンボーズ・オフィスへようこそ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobody
9
奇矯な言辞を弄することこそ呉智英の生命線である。本当は本質的な思想家なのに誤解されている、のではない。本質は空っぽである。己が空っぽだから言葉の誤用など他人の揚げ足を取るしか道がない。本の表紙が必ず西洋画というのもいかにも虎の威を借る狐らしい。権威がほしい! という潜在意識を浮き彫りにしている。小林よしのりでさえギャルを説諭できるが呉智英にはできない。説諭できずに「相手に教養がないからだ」と批判するのが関の山だろう。差別は素晴らしいことだとの論証はできない。相手の主張を主観的に決めつけこじつけるという不毛2020/09/20
たびちゃん
2
最初らへんは楽しい。 後半は座談会。食事ネタが多い。大人の何チャラは読まなくていいと思う。2014/04/11
すがし
2
都立松沢大学を讃えよ!! 夫子の著作はどれも読み物としてよくできているが、中でもこの『賢者の誘惑』の面白さは特筆に価する。楽しく、近代的知の限界が乗り越えられる名著!2010/12/01
ドント
1
「教育なんて洗脳の一種だよね~」とか「民主主義が絶対とかありえないよね~」などという言説が飛び交う昨今、思わず頷く人もおいででしょうが、そんな方は呉智英の本を読みましょう。ウン十年も前からそういうことを、しかもキチッとした厚みをもって言っています。後半の対談は本編はともかく、導入の文章の軽薄さ、カタカナ使いがいかにも平成!初期!といった具合で味があります。2017/05/28
肉欲棒太郎
0
うーん、いまいち。後半の対談はとても退屈だった。民主主義・人権思想への鋭い批判はさすがと思う。2013/11/03