内容説明
「な…なんだ!おまえ!」「ゆうべ、あんたが手下どもに連行させようとした鳴尾恭平という者だ。さらにいえば、ずっと前からあんたがおれに刺客を放っていた鳴尾恭平だ。手間を省いて、こっちから参上してやったよ」「おまえが鳴尾か。小癪なッ」飛びはねて枕の下に岩倉の腕がのびた瞬間、鳴尾はその上腕骨に拳銃のグリップを打ちこんでいた。骨が折れる鈍い音がたち、岩倉が掴みそこねたブローニングが、枕の下から床へ落ちた。「くそッ。わしに、何の用事だ!」岩倉は折れた腕をかばって、ベッドの上であと退りしながら、雄牛のように吼えた。〔『都心地価狂騰殺人事件』より〕―鳴尾恭平、32歳。ひと呼んで六本木探偵。元警視庁捜査一課キャリア組は伊達じゃない!
目次
都心地価狂騰殺人事件
白い湖畔の女
社長令嬢誘拐事件
クリスタル探偵の不覚
現金(げんなま)に手を出すな
いざ、暗殺都市