出版社内容情報
短歌の第一人者による『もうすぐ夏至だ』に続く第2エッセイ集。最新の連載を中心に、心躍る、胸を打つ言葉の宇宙が繰り広げられる。常に歌人であることの意味
好評を博した『もうすぐ夏至だ』に続く、待望の第二随筆集。最新の連載「風通しのいい窓」(「PHPくらしラクーる」)や「あすへの話題」(日本経済新聞)を中心に、各紙誌に発表した随筆の数々がまとめられている。
まず巻頭に収録された、表題ともなった書き下ろしの随筆が読者の心を打つ。これは「あの午後の椅子は静かに泣いてゐた あなたであつたかわたしであつたか」(『夏・二〇一〇』)から採られている。
珍しく陽のあるうちに帰宅した夫が、庭の椅子に座っている妻の河野裕子に声をかけたとき、夫ははっきりと「さっきまで泣いていた」様子を見てとった。それは妻が乳癌の再発を告げられてからひと月ほどたったある日の午後。夫は「彼女の横に腰かけ、同じほうを向きながら、何も話さなかった。慰めもせず、冗談で元気づけようともせず、泣いていたわけも訊かず、ただただ横に座って居ただけだった」……。
この秀逸な一編から巻末まで、ポエジーな文体が奏でる、常に歌人であることの意味を問い続ける著者の真摯な姿勢を、読者は心ゆくまで堪能できるだろう。
永田 和宏[ナガタ カズヒロ]
1947年滋賀県生まれ。京都大学理学部物理学科卒。京都産業大学総合生命科学部学部長。『塔』主宰。朝日新聞歌壇選者。「饗庭」で読売文学賞、「風位」で迢空賞等受賞。紫綬褒章受章。著書に「もうすぐ夏至だ」「新樹滴滴 」(白水社)など。
内容説明
歌人で“ある”ということはどういうことか。個人の日常と、歌という表現を持つこととの関係を、しなやかな視線で描く、珠玉のエッセイ集。
目次
1 風通しのいい窓(おまへのままがいいから;いつも誰かが居てくれる場所 ほか)
2 「あすへの話題」より(ご飯はフォークの背に載せて;Your hair! ほか)
3 歌人で“ある”ということ(歌人であり続けるとは…;歌で伝えられるもの ほか)
4 いつも“いま”がおもしろい(饗庭;母の驚愕、悲しき記憶 ほか)
著者等紹介
永田和宏[ナガタカズヒロ]
1947年滋賀県生まれ。京都大学理学部卒。京都大学名誉教授。京都産業大学総合生命科学部教授。同タンパク質動態研究所所長。読売文学賞、迢空賞、講談社エッセイ賞など受賞多数。芸術選奨文部科学大臣賞、紫綬褒章。宮中歌会始詠進歌選者。朝日新聞歌壇選者。塔選者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
双海(ふたみ)
チェアー
けせらせら
浦和みかん