出版社内容情報
愛の奇蹟と運命の不思議に満ちた4篇を収録。典雅な文体で綴られた珠玉の物語集第1巻。
【著者紹介】
1885~1962年。デンマークの作家。著書に『アフリカの日々』『冬物語』『復讐には天使の優しさを』など。
内容説明
北海沿岸を襲った大洪水の夜、崩れかけた農家に残された人々が数奇な身の上を物語る「ノルデルナイの大洪水」、若い男女の結婚話が驚くべき展開を見せる「猿」他、愛の奇蹟と運命の不思議に満ちた全4篇。『アフリカの日々』の作者が典雅な筆致で紡ぎあげた珠玉の物語集上巻。
著者等紹介
ディネセン,イサク[ディネセン,イサク] [Dinesen,Isak]
1885‐1962。デンマークのルングステッドの地主ディネセン家の次女カレンとして生まれる。コペンハーゲンの王立美術学校で絵を学び、パリ、ローマに遊学。1914年、ブロル・ブリクセン男爵と結婚、英領東アフリカ(現ケニア)でコーヒー農園を経営するが、結婚生活はまもなく破綻。農園経営も行き詰まり、1931年にデンマークに帰国、文筆活動に入る。1934年、イサク・ディネセン名義で発表した『七つのゴシック物語』で一躍注目を集めた。自身のアフリカ体験を描いた第二作『アフリカの日々』(1937)は20世紀回想文学の名作と評される
横山貞子[ヨコヤマサダコ]
1931年生まれ。慶應義塾大学大学院英文科修了。英文学者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
26
感想は(書けたらだが)後日。2024/07/31
三柴ゆよし
19
寓意に寓意を織り込んで編まれた精緻極まるアラベスク。各篇いずれもが形而上的幻想ともいうべき人工性に満ちているにもかかわらず、作中人物にそれぞれの身の上を物語らせるという語りの技法を採択することにより、血の気のない幻想小説とは一線を画した作品群となっている。構造分析にでもかけたらそれはそれでおもしろいだろうが、時計を分解しても時間が見つかるわけではない。秘されたものはそのままに味わえばよいのである。どれもこれも珠玉というべき短篇なのだが、特に「ノルデルナイの大洪水」と「猿」がすごいのでコメントにて感想を。2014/07/30
hasegawa noboru
12
一九三四年にアメリカで出版されたという。その時点から百年ほど前の<ロマンチックな精神の支配する時代>一九世紀ヨーロッパを舞台にした”ゴシック小説”集四篇。語りが入り組んでいて読むハナから忘れていって困った。それでも比較的読みやすかったのが表題作「ピサへの道」。鬱病持ちのデンマークの若貴族が旅の途上で出くわす、愛と冒険を巡る奇怪な事件。<生きるとは、なんと不可思議でむずかしいことか。><おそらく百年もたてば、後世の人たちはおれの一生、今夜感じている悲しみのことを読んで、たかだか娯楽くらいにしか受けとらない→2021/10/27
erierif
12
「ノルデルナイの大洪水」災害で英雄的な行動をとり救助を待つ人々の1夜。様々な人生が交錯し物語好きにはたまらない展開だった。解説はネタバレしているので、特にこの話は解説を見ないで読まれるといい。「猿」と「ピサへの道」は対になる話かも。性的に弱い立場の女性が描かれているが「猿」のアテナがイケメンのボリスを拒絶する夜は最高だった!「ピサへの道」学問への道が生きる喜びを与える話。全の話に仕掛けがあってもう一度読み返したくなる。ディネセンは、その波乱に富んだ人生と物語(小説)が強く影響し合っている作家だと思った。2014/01/05
miyu
11
ディネセンは「バベットの晩餐会」や「アフリカの日々」で旧知な作家だが、この作品は大層な教養と育ちの良さを匂わせる内容であった。知識の深さや千夜一夜的な面白さは感じたが正直「だからなんなの?」と言いたくなる気持ちを抑えきれず、途中で何度か断念しそうになった。かなりの時間をかけてようやく読了。翻訳が自分に合わないこと(文体が古文調であったのがいきなりオレ的になったりと、ふらつきを感じる)も原因のひとつ。あとは作品には全然関係ないのだが、本文の天地左右がキチキチで読みにくい。なんでこの組み方なのか、かなり疑問。2014/09/11