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出版社内容情報
芸術のうえでは、革命的であることをやめなかったマネの鮮明な肖像を正面に掲げながら、どこにマネの革命があったのかを作品を通して分析・論証し、そこにマネの意味を考察する。マネの肖像とマネの描いた当時のブルジョワ社会の肖像画とを絡み合わせて綴る『セザンヌ物語』につぐ2作目の画家論。
内容説明
マネの〈オランピア〉からは、裸の女の視線のシニシズムだけでなく、それを描いている人物の精神の冷静さが見るものに伝わってくる。大胆不敵な挑戦状を社会につきつけたときでさえ、この画家は、自分の絵描きとしての能力についての完全な力の意識と同じくらいエレガンスを示さずにはいられなかった。
目次
1 マネが描きたかっとこと
2 マネの女性像
3 色のコンポジション
4 遊びの精神
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
16
単純な何本かの線で構成されたパウル・クレーの天使の絵をめぐって彼が何を考えどこから描き始めたかを精緻で柔軟な文章で謎解きをする吉田の忘れがたいエッセイを昔読んで知的昂奮を覚えたが、この本でも、どんな細部も見逃さない観察から画家マネの創作の秘密を闡明する文章がすばらしい。有名な絵も出てくるけれど自分がいかにぼんやりとしか見ていなかったか思い知らされる。聴きなれた名曲の新しい魅力を教えてくれる演奏家のようだ。コミューンではドガとともに最後まで包囲下のパリに頑張っていたというのは意外な一面だった。2016/02/07