感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mingus
2
<芝居下書きI>道端でバイオリンを弾く半ば物乞いの盲人、そこへ足の不自由な車椅子の老人が訪れる。盲人は昼夜すらわからず、老人はまわれ右もままならない。そこで老人はチームを組まないかと提案する。不自由な生活を送る2人に僅かな希望が差し込む。が、些細な歪みが2人に亀裂を作ってしまう。噛み合わない2人の男を描かせたら一級のベケット。絶望すらも通り抜けた世界の果ての景色をベケットは我々に提示する。2023/08/24
エンピツ地獄
2
再読。とある論文を読む。虚構か現実かなんてまだやってる。心底敬愛するある方の影響でファスビンダーの形而上的演劇空間的な初期の画作りを思い出す。舞台上に企図されてる言行不一致によって視覚を補正する役割を担うことになる想像上のヴィジョンとそのズレ、予期せぬ中断などの暴力まで含めたすべての効果は、映画で再現できる。ゴダール。映画を観たという現実的な行為の再現は、言語化以外にないので反復まで含み込む。素の俳優の素である根拠をテクストに置く時点で通用しない時代故の、言行不一致という演劇フォームの先鋭化(岡田利規)。2015/06/24