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内容説明
幻想と驚異にみちた連作「黒い絵」をはじめ、人間の心の奥底をみつめ、その存在を問いつづけたゴヤ。激動の時代を生き抜く、熱くたぎるスペインの魂。平成21年度児童福祉文化賞受賞。
目次
織り出されたスペイン民衆の風俗
サン・イシドーロの祝日の川原で
ふたつの自画像
伝説の「マハ」
カルロス4世とその家族
ふたつの女性像
1808年5月、歴史を変えた2日間
魔女、迷信、幻想
踊り狂う仮面たち
「黒い絵」の世界へ
謎を見つめる犬
最後のかがやき
版画家ゴヤ・黒と白の対話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
106
【イメージの森のなかへ】。祖国スペインとフランス……二つの王家は親類筋に当たり、国民たちは二つの異なる文化を享受していた。宮廷画家を目指していた若きゴヤ(1746-1828年)は、王立のタピストリー工場で織物の原画を描いていた。しかしフランス革命で国王は断頭台の露と消え、時代は不穏な空気をまとい始める。ゴヤ自身も病に倒れ、46歳で聴力を失ってしまう。冷え冷えとした王家の『家族の肖像』、黒魔術、わが子を食い殺す神……虚無的な『黒い絵』に取り憑かれた画家は、最後の3年間を過ごした異国でようやく闇を振り払う。2016/05/28
れみ
74
画家の生涯とともにその作品を詳しく解説するシリーズ、ゴヤ編。女性の肖像画など美しさの感じられるものにもなんとも言えない憂いや暗さが漂ったり闇や恐ろしさが印象的な作品が多いなと感じた。「サン・イシドーロの牧場」は明るい感じだったけど。ゴヤが晩年に暮らした家の壁に書かれた作品群も凄い。凄いけど食堂の壁に「わが子を食らうサトゥルヌス」のような作品が描かれてるって…私の理解の範囲を超えてた(>_<)2015/10/28
ヴェネツィア
71
今回は珍しくも絵の全景から。タピストリーの原画として描かれた初期の明るい絵「瀬戸物売り」からのスタートだ。絵の性質上、概ね明るく屈託がないのだが、描かれている老婆の表情は随分険しい。編集上、やや不思議なのは「着衣のマハ」はあるのに、「裸体のマハ」がないこと。「カルロス4世の家族」をはじめ、肖像画はいずれも見事にモデルたちの人間としての内質を暴きだしている。また晩年に描かれた「黒い絵」には人間に内在する残酷さと狂気を暴くかのようだ。なお、ゴヤの絵を多数収蔵するプラド美術館には、ベラスケスやボッシュなども。2013/06/19
ごへいもち
19
「裸のマハ」と「着衣のマハ」しか知らなかったので闇の部分に驚き。残酷な戦乱の時代に生きて豊かな感受性を持っていたら、それを表出する手段として絵しかなかったら狂気に向かわざるを得ないのかも。悲惨2011/09/15
散歩いぬ
11
児童向けゴヤ入門本。不穏な日常から戦乱期へ至る18世紀のスペインの状況と、宮廷画家の地位を得た後の晩年に引きこもって「黒い絵」に向かうゴヤの心。双方への興味を上手く誘導していると思う。晩年の狂気じみた絵が気になる。衝撃的な「我が子を喰らうサトゥルヌス」、愚かさと悲しみが入り交じっているよう。約100年後の画家ルドンも引きこもって不気味な空想画を描いているが、こちらはユーモラスに見えるものが結構ある。100年という時は狂気を肯定したのか。2012/10/09