内容説明
常に己れの思想を危うい地点に追いつめ、追いつめられた地点から新しい思想を生み出し続けた“思想家”ニーチェの本質を、ワーグナーとの「訣別」に照準を合わせ考察する著者の眼は、「ペテロの否認」をめぐるチェーホフとレンブラント、「裏切り」をめぐるダンテとジョット、「風景」をめぐるレオナルドとゴッホ、「悲劇」をめぐるソポクレースとアヌイ…と次々に、鎖の一方の端に触れれば他の端が揺らぐように、明晰な思考の光学で精神の劇を紡いでゆく。
目次
ペテロの否認について
裏切りについて
自然性について
風景について
悲劇について
訣別について