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日経文芸文庫
男の一生〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 370p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784532280253
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

秀吉の下、木曾川の野武士から但馬十一万石の大名へと転身した前野将右衛門。しかし天下人となった秀吉はまるで別人のように権勢に執着する。自らの足下をすくう大事件に巻き込まれた将右衛門が選んだ人生の決着とは―。乱世に生き、悲運の最期をとげる侍の生涯を描いた遠藤周作の代表作。

著者等紹介

遠藤周作[エンドウシュウサク]
1923年東京都生まれ。幼年期を満州大連で過ごし、33年帰国。35年、12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒業後、フランスのリヨン大学大学院へ留学。55年、『白い人』で第33回芥川賞を受賞。日本芸術院会員、95年文化勲章受章。主な作品に『海と毒薬』(新潮社文学賞、毎日出版文化賞)、『沈黙』(谷崎潤一郎賞)、『キリストの誕生』(読売文学賞評論・伝記賞、日本芸術院賞)など多数。96年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

レアル

59
遠藤氏の作品の特徴であるキリスト教が登場すると、上巻の史実を追う構成とは異なり、信仰や救いと言った宗教の話に切り替わる。これが遠藤氏の作品の良さなのだ。前野将右衛門という人物を描くのも遠藤氏ならではだし、この人の結末を分かっていても史実からではなく、宗教という着眼点からの世界をみせてくれるのもこの作家の特徴なのかもしれない。戦国という人の命の儚い時代だからこそ、切支丹禁制という抑制されていた時代だからこそ人に響くものがある。私自身キリスト教徒でも何でもないが、作品を通して私の心も浄化された気がする。2016/08/31

優希

51
姉川の戦いから将右衛門の死、その子孫までが描かれます。秀吉の性格が変化していくのは戦国の頂点に達したからでしょう。どのような状況にあっても実直に仕える将右衛門に対して言うことは何もありません。2021/08/29

活字の旅遊人

43
下巻三章目で18年飛ぶ。ここで『決戦の時』との重複は終わる。この後は『反逆』、『宿敵』と重なってくるのだが、主人公前野将右衛門の弱さ、虚しさが良く伝わってくる。ここからは当然、キリスト教も話題になる。利休はキリシタンではないが、近い存在のようだ。最終章で「語り手たち」として『武功夜話』のことを教えてくれる。史料としての評価はともかく、この時代の一つの見方として遠藤周作に強い印象を与えたことが分かる。そしてお拾いさまの出生ミステリーは謎のまま残された。重きも軽きも織り交ぜた、遠藤周作らしい作品だと思った。2021/04/20

キムチ27

41
下巻に入ると様相は一転。秀吉の性格の変容が、前野一族に暗雲をもたらして行く。茶々の産んだ子、秀吉のお世継ぎ問題が秀次に悲劇を呼ぶ。彼に仕えた将右衛門は暗躍の陰謀の詰め腹を切らされ一族は雲散霧消の身に。あとがきに遠藤氏の想いが綴られるが、何とも味わいのある語り口。木曽川も「ゆく川の流れは絶えずして元の水にあらず」だと。人の心は移ろい、権勢もさなり。細川と縁戚になった前野家が庭石に「切支丹に非ず」と刻んでいるが、帰依したのだろう。人の心が信じられぬかの乱世にあって、将右衛門がすがった祈りが解るような。2017/01/07

スー

18
期待に満ちていた上巻とは違い下巻は戦場での命のやり取りとはまた違う緊張感・身の処し方を求められる新たな時代の到来と残酷さを増し信長に近づいていく秀吉に戸惑い暗澹とした気持ちになっていく長康と小六。家を長いこと開け仕事に打ち込んで、気づいてみれば妻に先立たれ兄と慕った小六を失い尊敬していた利休と秀長も亡くなり、自慢だった上司は変貌し忠義を尽くしたのに、こんな結末とは長生きはするもんじゃないとつくづく思いました。題名は男の一生ですが登場する女性陣もとても印象的で、愛されなかった濃、好きだった兄を殺した兄信長を2018/12/08

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