出版社内容情報
先が見えぬというのは、存外面白ぇものだな――開国に揺れる幕末の尊皇攘夷の嵐の中、幕府初の欧米列強との外交部門に家柄・身分を越えて開明的な俊才が集められた。しかし、肚の座らない閣老(上役)の迷走に下々の忖度が横行し、彼らの前には絶えず大きな壁が立ちはだかる。そして、したたかな西国雄藩の脅威。
「幕府がどうあるかではなく、この日本をどうすべきかという広いものの見方を己のうちに設けねばならぬ」彼らに仕える新し物好きで曲がったことが大嫌いな生粋の江戸っ子の若者を通して、幕臣から見た知られざる維新のドラマが現出する。
その若者の名は明治の歴史書では名著と言われる『幕末外交談』の著書がある、生涯を外交官一筋で生きた田辺太一。幕臣としての初の御番入りが開国を受けて幕府に新設された「外国方」で、開国直後の幕末から明治まで一貫して外交に携わってきた太一の成長物語を駆動力にして、「幕末三俊」と賞される岩瀬忠震、水野忠徳、小栗忠順、そして勝海舟、同僚として福地源一郎、下僚として渋沢篤太夫(後の渋沢栄一)と、異能の幕臣オールスターキャストそろい踏みで、人間くさいドラマが展開される。
人物をこまやかに描くことで移ろいゆく時代を活写し、時代・歴史小説に新風を吹き込む直木賞作家・木内昇氏の最新作は、歴史小説ファンが木内氏にもっとも待ち望んでいる幕末小説にして、渾身の力作。原稿用紙千枚超えの長編も、主人公の江戸っ子気質を活かした全編にみなぎるロックのようなグルーブ感に酔わされて、一気読み必至の傑作長編!
日本外交の礎を築いたのは明治政府ではなく、"最後"の幕臣たちだった! !
内容説明
開国から四年、幕府は外国局を新設したが、高まる攘夷熱と老獪な欧米列強の開港圧力というかつてない内憂外患を前に、国を開く交渉では幕閣の腰が定まらない。切れ者が登庸された外国奉行も持てる力を発揮できず、薩長の不穏な動きにも翻弄されて…勝海舟、水野忠徳、岩瀬忠震、小栗忠順から、渋沢栄一まで異能の幕臣そろい踏み。お城に上がるや、前例のないお役目に東奔西走する田辺太一の成長を通して、日本の外交の曙を躍動感あふれる文章で、爽やかに描ききった傑作長編!
著者等紹介
木内昇[キウチノボリ]
1967年、東京生まれ。出版社勤務を経て、インタビュー誌「Spotting」を創刊し、編集者・ライターとして活動。2004年『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。09年、早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞。11年『漂砂のうたう』で直木賞。14年『櫛挽道守』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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