内容説明
『土佐日記』が執筆された歴史的環境や背景を明らかにする。『土佐日記』の七つの場面を現代語訳し、その場面で重要な事項を歴史的に解説。
目次
1 『土佐日記』とその時代
2 『土佐日記』を読む(序;馬の餞;出立;海路;和泉国へ;淀川を上る;帰宅)
3 より深く理解するために(『土佐日記』の主題について;『土佐日記』のジェンダー;「道化師」貫之の本領)
感想・レビュー
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日記とは、儀式や政務など事実のみを記す古記録のことだったが土佐日記は虚構が織り交ぜられ文学性に富んだものだ。帰京後に旅行中の記録を参考に文学作品として作り上げた。地名や日付、記された年中行事(七日の白馬、七種の節供など)は信用できる部分が多い。他の史料から伺えない送別会の様子を伝える貴重な史料も。紀貫之は多くの見送りがあって慕われていたことが分かる。当時の海賊の存在形態も分かる。小さな船での小集団で夜に活動しないとは意外。船の上でも人々は和歌を楽しんでいる様子。女性に仮託できてない部分もあるのが面白い。2019/09/20