内容説明
両国から本所、深川にかけて数多ある相撲部屋。そのとっぱずれに位置する大波部屋には中学時代の同級生が入門していて、身内みたいに贔屓にしているのも当然だが、そこを舞台に驚天動地の事件が相次ぎ、お陰で作文だって三枚以上書いたことがないというオレが、その顛末を書かされるハメになってしまった…?!軽快なタッチで描く、戸松淳矩の記念すべき本格推理長編第一作。
著者等紹介
戸松淳矩[トマツアツノリ]
1952年12月31日、京都生まれ。’75年、学習院大学文学部卒。’79年、『名探偵は千秋楽に謎を解く』でデビュー。『名探偵は九回裏に謎を解く』を上梓後、雑誌に「墨田川幽霊グラフィティー」を連載して沈黙。2004年、大作『剣と薔薇の夏』で劇的な復活を遂げる
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感想・レビュー
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やまだん
6
6点。30年以上前に書かれた子ども向け小説なのだが,現在のバカミス作家などより文章がうまいので,あまり子供だましとは感じられなかった。子供向けの作品ということもあって,小説全体の骨格は,極めてシンプル。大砲を相撲部屋にぶっぱなしたり,弱小相撲部屋が登場したり,子どもを飽きさせず,読み進めさせようという工夫が感じられる。作中に,誘拐事件も出てくるが,人質を返すための条件が極めて特殊で面白かった。子ども向けなので,深さは全く感じられず,リアリティも皆無だが,それほど古臭くもなく,十分楽しめるデキだった。2016/06/18
rokoroko
5
今の本だと思ったのに、数ページで「蔵前国技館」の文字があり、「ギョ!古い!」と気がついた。昭和54年に刊行された朝日ソノラマ文庫らしい。ああ懐かしい。この手の本沢山出てたのね。ハーレクインとサンリオのシルエットロマンスとかそうそう「八つ墓村」とかも良く売れた。本がまだ売れた時代の軽いお話2015/06/15
barcarola
2
はじめのうち読みにくさを感じるも、中盤あたりからは一気だった。不思議と古さを感じることもない。ところで花田が逃げ出した一番の決まり手は何なのだろう?2016/01/30
アオノ
1
初出は朝日ソノラマだそうです。ソノラマ作品はあれこれ読んでたつもりでしたが、これは未読。さすがジュブナイルらしく、あまり頭を悩ませずにサクサク読めます。下町に暮らす江戸っ子たちが主役のせいか、全体的に陰湿にならず、からっとしています。そりゃ、動機に対して犯行が重すぎて現実味を欠くといえばその通りなんですが、逃げたオラウータンが密室で母娘を惨殺するという、明らかにありえないシチュエーションがミステリの原点であることを思えば、この程度は十分許容範囲でしょう。 2013/11/18
もふもふ@白
1
BOOKOFFで昔買っておいてあった本。創元推理文庫で本屋の店頭に見たことあったので新しいと思ってたけど、解説読んでびっくり、なんと1979年に書かれてたんですね、しかもソノラマ文庫? いやぁ、1979年ですけどもいま出てたものでも違和感のない、設定を除いて古さを感じさせない快調な流れで面白いものでした。その設定にしても、場所柄そんなもんかなって感じですし。最後のネタばらしは、読後感としてはいいんだけどミステリとしての納得感がどのくらいあるかはひとによるかもしんない。2013/10/07