感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
日暮里の首領様
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オルテガに代表される印象論的・感情論的な大衆批判や、アーレントなどの高度に精緻な大衆理論を、「科学」に昇華させた大作。場当たり的・非制度的・暴力的な大衆社会や、エリートによる無限の大衆動員が行われる全体主義社会ではない、「自由主義的民主主義」の実現には、自律性のある結社によって育まれる、多元主義的社会が必要だ。そして多元主義的な結社は市民的自由を育み、エリートを非制度的な攻撃から、非エリートを恣意的な動員から防ぐ…。こうした多元主義論は、今からすると英米本位に過ぎる気もするが、やはり意義深いものがある。2012/12/11
ぽん教授(非実在系)
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やっと読めた。民主主義がとりあえず実現された現代社会を大衆社会と多元的社会とに区分して、前者を簡単に全体主義に染まりやすい社会であるとした内容。中間集団の多様性と活動がいかに国家に活力を与えて社会を豊かにするか、そして全体主義の魔の手から国を守るかがすっきりした理論でわかる好著。復刊を求めたい。2012/10/18