内容説明
「政治家は与野党を問わず嘘っぱちの公約のラッパを吹き、国民はあんな嘘っぱちをいってやがらあ、とニヤニヤしながらこれを聞き、吹くほうはそれをまた承知の上で吹きたて―」、時は移れど、人間の本質は変わらない。世相から(わかっちゃいるけどやめられない)マージャン・酒・煙草、風山房での日記まで、単行本未収録エッセイ。
目次
1 人間万事嘘ばっかり
2 かんちがいもおっかない
3 私の発想法
4 わかっちゃいるけどやめられない
5 風山房日記
6 終りの始まり
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922(大正11)年1月、兵庫県養父郡関宮の医家に生れる。49年、「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で第二回探偵作家クラブ賞を受賞。50年、東京医科大学を卒業するが、医師の道を進まず、作家として身を立てる決心をする。『甲賀忍法帖』『くノ一忍法帖』を初めとする、風太郎忍法を生み出し、忍法ブームをまきおこす。さらに73年より『警視庁草紙』『幻燈辻馬車』『明治波涛歌』など、独自の手法による“明治もの”を発表、ファンをうならせる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なにょう
13
父から拝借。山田先生、蒲柳の質とかいうわりには、三日三晩マージャンしてらっしゃったり。昔から、先の大戦の頃、人びとはどう考えてたのか興味がある。いわく、「あの戦争が悪であったかという判断はまだ私にはできない。しかしただ一ついえることは日本には侵略戦争をする資格はなかったのではないかということだ」と。戦時下の混乱をご存知だからこそ、戦後の繁栄をより価値あるものと享受されてらしたんだな。2015/09/21
ミッチ
11
「陰徳陽報」という言葉がお好きなようです。陰徳陽報とは、人に知られずに陰でこつこつと善い行為を行うことです。ことあるごとに風太郎さんはそれは陰徳陽報だという、風太郎さんはかなり甘い汁を戴いたようです。また、「私の忘れえぬ人」のなかで、私は長寿だと思う。その理由はイヤなやつと付き合う必要がない執筆業だから。付き合いにくいのはいわゆる「エライ人」である。いちばん厄介なのはエラクもないのに自分ではエライと思っている人物である。う~ん!納得しました。が、風太郎さんて幼い気難しい好好爺という印象をうけました。2019/03/12
hirayama46
4
政治やギャンブルなど様々なテーマの未収録エッセイを集めた一冊。統一性のなさゆえに山田風太郎の視点の行き先が見定めやすいところがあり、面白かったです。2022/04/06
seichan
4
エッセイ集なのでさらりと読んだ。市村羽左衛門の最後の舞台を見たり、姿三四郎をリアルタイムで見たり、といった話が面白かった。そんな映画見物さえできず戦死していった同級生たちへの思いや戦後の繁栄に当惑するような心持ちが所々に顔を出す。こういう飄々とした味のエッセイもいいけども、やっぱりこの人は小説が最高かな。2016/04/26
Yasutaka Nishimoto
3
初めて読んだ著者の本。ひょうひょうとした文章が小気味よいエッセイ集。2017/08/15