感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
クリママ
48
博物館専門技師。依頼主に「ここまでで、…真理を二つ示した。さあ、言ってみよ。」と言われ、それが読み手である私への問いのようで緊張する。その緊張が持続し、終盤には鼓動が早まる。遺品のみが展示される博物館の開設。依頼主の老婆、養女の少女、庭師、沈黙の伝道師。バイトという言葉から昔のことではないと思う。では、どこのことなのか。技師は兄に再び会えるのか。「博物館というのは、ある特殊な緊張感を強いる場所なのです。静寂の中での、展示物と見学者、一対一の対面ですから。」技師の言葉の「博物館」を「読書」に置き替えてみる。2018/02/01
だんたろう
35
美しく、不思議で、寂しさを感じる小川さんの作品に、今作では怖さが加わっている。村人の遺品を収蔵する博物館を造るために呼び寄せられた博物館技師。遺品に取り込まれ、村に取り込まれ、博物館にも取り込まれてゆく。その課程の描写は美しく、それだけに怖さも強い。死は沈黙を生むけれど、生きた価値に変わりはない。本当は饒舌なのかもしれない。2017/05/29
マッピー
21
村の人々の形見の品を集めて展示する「沈黙博物館」。一人の老婆の執念と、博物館専門技師の努力と、老婆の養女、家政婦、庭師たちが作り上げようとするその博物館とは。現実とファンタジーのあわいにある物語は、小川洋子の得意分野ではあるけれど、この作品は少し違うような気がした。小説の感想を別な小説で例えるのはいかがなものかと自分でも思うけれども、これは吉田修一の『パレード』ではないのかと思った。身近にいる人の違和を見ないようにする主人公。けれども最後まで読んで、これは安部公房の『砂の女』だな、とも思えた。難解。2026/01/22
ペトロトキシン
20
読んでいて不思議な気持ちになる作品。遺品を利用して博物館を作る。つまり、その博物館に展示される物は、全て盗品ということになる訳で、普通に考えると不謹慎極まりない博物館ということになる。だが、博物館技士が遺品を展示品として甦らせることにより、物言わぬ遺品から死んだ人の人生を雄弁に物語る物へと昇華させているとも考えられる。それにしても、この村の存在は結局現実なのか最後の方では分からなくなってくる。そして、小川洋子の作品にはどうしても死の匂いが漂ってしまいんだなぁ。2017/02/15
夏
19
博物館技師のぼくは、依頼を受けてある村にやってきた。ぼくに依頼をしたのはお屋敷に住む100歳近い老婆で、ぼくはその村で亡くなった人々の形見を展示する博物館を作ることになる。形見はいろいろ。ハサミ、絵の具、etc…。まるで異国の村の話を見ているようだった。風景や服装などは異国のものを想像してしまうのに、顔だけは日本人のを想像してしまう。『沈黙博物館』というタイトル通り、物語は常に静寂だった。でもちょっと不気味というか、そんな展開もあったので、もちろんとても面白かったけれどちょっとマイナス。★★★★☆2020/11/05
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