出版社内容情報
国家・共同体の原理とは? 思想の自立とは? 究極の左翼性とは? 1968年から95年まで、時代に真摯に向き合い、根柢から考え抜いた著者が語る情況論。
内容説明
共同体の原理とは?究極の左翼性とは?常に時代と向き合い、実践を通じて根柢から考え抜いた著者が語る情況論。
目次
1(現代における政治過程にとってその自立とは何か―その過程の観念的考察;共同観念の“文化”と創造;思想的課題としての情況;根柢への出立に向けて;情況の根源から)
2(思想の自立とは何か;国家・共同体の原理的位相;究極の左翼性とは何か―吉本批判への反批判)
3(『試行』の立場;知の流通『試行』刊行三十四年…現在)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
22
文化は政治活動か政治体制の結果的な現われと解釈する(27頁)。文化の創造:時の体制(権力)に無条件に承認、無益・無害、娯楽、遊びというものに承認されうるものに伸びていく要素(30頁)。文化の後向き性(40頁~)。文化が自由、勝手な創造として出てくる根本原因は、社会の中に原因がある(43頁)。文化の創造自体として、壁にどうやって穴を開けたら 良いのかといった問題が個々の創造者にとっても、創造認識の中で必ず突きあたる(46頁)。2015/08/03
amanon
2
従来の右翼及び左翼の動きが低迷化する一方である現在において、本書を読む意味に疑念がわくのと同時に、硬直化した左翼の発想に対する著者の批判には、その鋭い舌鋒は今を持っても有効だという気にもさせられた。個人的にとりわけ興味を覚えたのは、大衆文化に語った箇所。このあたりや出版文化への言及など、あの渋谷陽一がどれだけ著者に影響を受けたかがよくわかる。思想を歌うフォーク歌手よりアイドル歌手を評価するくだりなど、若干首を傾げたくなるが、著者の考え方の一貫性が伺える。と同時に著者の不在の重さを改めて痛感させられる…2019/05/21