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ちくま文庫
「小津安二郎日記」を読む―無常とたわむれた巨匠

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  • サイズ 文庫判/ページ数 544p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480432896
  • NDC分類 778.21
  • Cコード C0174

出版社内容情報

本人が綴った25冊の日記と膨大な同時代資料を丹念に読み解き、“人間・小津安二郎”の姿を鮮やかに浮かび上がらせる小津研究の傑作。解説 中野翠

内容説明

小津安二郎はまめに日記を付ける人であった。「朝風呂」「昼寝」のような何でもない日常や、その日出会った人、行った場所が丁寧に記され、時には弱音がまっすぐに吐露される。現存する25冊の日記と同時代の雑誌記事をはじめとする膨大な資料を丹念に読み解くことで、日々の生活の無常を撮り続けた巨匠の“人間・小津”としての姿を鮮やかに描き出した傑作評伝。

目次

第1章 憂い
第2章 いのち
第3章 親子
第4章 人情
第5章 家族
第6章 しあわせ
第7章 心たのしも
第8章 ものの哀れ
終章 男の背中

著者等紹介

都築政昭[ツズキマサアキ]
1934年愛知県生まれ。評論家(映画・ロシア文学)。日本大学芸術学部卒業。NHKに入局、主にドキュメンタリーを担当する。九州芸術工科大学(現・九州大学)教授、岐阜県立情報科学芸術大学院大学教授を歴任。現在はロシア文学や映画に関する著述活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

30
日記を読むことでその人の人生を知る。確かに理に適ったことではあるが、ここまでつぶさに追うことはなかなかできるものではない。小津安二郎という一癖も二癖もある人物の人生に肉迫し、その日記から足取りを追う試みはこうして分厚い本として結実する。読みながら、実にまあよく呑み、よく遊び、そしてよく撮った人だと感服する。映像で自分の思想を残した小津は従って必ずしも文字で自分を表現した人ではなく、したがってこうした活字媒体で記録を紹介するのにはなじまないところもあるのだが、その相違を踏み越えてここまで腑分けしたのは流石だ2022/12/13

踊る猫

29
小津の生涯は意外と語りにくいのではないか。むろん戦争に巻き込まれて辛酸を嘗めた人物ではあったのだが、それを除けば映画製作に邁進しロマンスと無縁な(と書くと大げさかもしれないが)一生を生きたストイックな人物だったのだから。都築政昭のこの本はそんな小津が書き記した日記を手がかりに、小津の一生を評伝風に紹介してくれる。むろん小津を観直したくなる本でもあるし、上述した語りにくい小津に関してグッと距離を近づけてくれる、人間としての小津が身近に感じられるような好著であると思う。几帳面なようで人間臭い、そんな小津が在る2021/03/13

Gen Kato

5
年々、小津映画が沁みて来る自分としては興味津々の書。ことに「会者定離」の『麦秋』と、親しき中にこそ必要な労りを欠いたら家族は他人以上に冷たいことを描いた『東京物語』はやはり名作中の名作と思う。田中絹代主演の戦後二作『風の中の牝鶏』『宗方姉妹』も好きなのだけれど、なぜか絹代のキャラが共感しにくい、と思ったら撮影時にお互い屈託があったんですね。のちに絹代監督『月は上りぬ』製作時に骨折っているのは小津に反省があったんだろうなあ。あと、佐田啓二夫妻にとってはけっこう困ったヒトだったのだな、小津カントク…2017/10/22

Kepeta

5
本文500ページを越すボリュームにかかわらず、一気に読めた。簡潔な日記と史実として残っている事象から、小津安二郎という人間を浮かび上がらせており、小津ファンとして大変興味深かった。プライベートな日記を元にしつつも露悪的にならず、小津監督への深いリスペクトと愛情が感じられ、且つ読み物として非常に面白かった。また小津作品を端から見直してみたくなった。2016/08/06

ラム

3
現存する日記(撮影所火災でかなり焼失)と他の資料、取材から小津の生涯を追う 心の底の分厚いペシミズム 傾向映画、蒲田調とも一線を画した「小市民映画」、独自のリアリズム 米映画への偏愛 日記での自戒(監督は椅子に)とは裏腹にカメラから小道具まで人任せにできない 従軍経験 中山貞雄との出会いと交流 野田高梧とのコンビ 志賀直哉を始め鎌倉文化人たちとの交友 成瀬巳喜男への評価(浮雲を絶賛) 原節子、笠智衆との出会い 黒澤への微妙な心理 墓石に「無」(人生を芳醇にする触媒の無) 人好き、寂しがり屋 厳格と豪放磊落2017/10/03

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