出版社内容情報
哲学は難解で危険なものだ。しかし、世の中にはこれを必要とする人たちがいる。――死の不条理への問いを中心に、哲学の神髄を伝える。
内容説明
哲学するとは「私が今生きているとは、そして、まもなく死んでしまうとはどういうことなのか?」という問いを発し続けることである。しかし、それは決して容易ではない。センスや仲間を必要とし、難解な書物を徹底的に読まねばならない。しかも、社会的にはまったく無意味な営みだ。それでも哲学を必要とする人にとって本書はこの上なく親切な入門書となるだろう。
目次
第1章 哲学にはセンスが必要である(死の恐怖;驚き ほか)
第2章 哲学には暇が必要である(長い長い修行期間;「分析哲学」との出会い ほか)
第3章 哲学には師と仲間が必要である(年取って哲学を続けているのは滑稽である?;大森荘蔵先生の授業 ほか)
第4章 哲学には修行が必要である(哲学的思索の修行;哲学的議論の修行 ほか)
著者等紹介
中島義道[ナカジマヨシミチ]
1946年生まれ。東京大学法学部卒。同大学院人文科学研究科修士課程修了。ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士)。電気通信大学教授を経て、現在は哲学塾主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
13
哲学書をパラパラとめくることは断じて哲学ではない。本来哲学とは易しいシロモノではなく思考の血反吐を吐きながら右往左往して掴む(まあ生涯かけても真理の尻尾さえ掴めないことは明らかなんだが)ものなんだということをこれでもかと叩き込んでくる指南書。哲学を学ぶ上での心構えと覚悟を厳しい言葉で記してくれているので自らが今行っていることは果たして哲学をしていると言えるのかと疑問に思ったら読んでみるのもいいかもしれない。個人的に中島先生の哲学塾に通っているけれど、哲学をやるためには専門家に師事するのが一番だと思う。2016/06/28
ハナ
4
本を少し読んで哲学している気分になっている人にとっては衝撃であろう。哲学は難しい普通の人はするべきでない。そのようにいいつつ、この本を読むと哲学に魅力を感じるのは、作者の情熱がうつったのだろうか。哲学に興味のある人は読むべき本だと思う。だが、やはりカントの読解は難しい。2013/08/30
きんちゃん
4
本書は本物の哲学する人になるための書であり、それがいかに難しいことかと言われる。哲学者になることや「哲学する」ことは、自分の内からわき上がる疑問や驚きに、一生かけて真摯に向き合い、真理を追求することだと言う。だからこそ、哲学する人にはセンスが必要であり、さらに暇と先生と仲間が必要だと言う。そして、一番大事なのは、「哲学する」には修行が必要であると、実際の哲学書を読み解きながらその方法を蕩々と説明されている。本書の後半の3分の1ほどは、カントの「純粋理性批判」のほんの一部分の読み解きに当てられており、とても2013/07/21
ブルーツ・リー
3
「哲学は難しい」と言うのを、そもそも根本的に投げかけています。 そんなに、哲学って簡単なものじゃないし、誰にでもできるものじゃないよ、というのを、1冊、ずっと言い続ける感じ。しかし、分かりづらい、難しいものだからと言って、哲学の言葉だけで、わざわざより難しく、哲学を勉強した人にしか全く意味が分からないような哲学書が多い中、徹底して平易な言葉で哲学を解説してくれています。その上で、簡単な言葉で説明しても、それでも哲学は難しいんだよ、あなたはやりますか?というのが、中島義道先生の問いかけであるように思います。2019/06/16
失速男
3
私には哲学のセンスが無く、暇も無く、師も仲間もなく、修行も無理だ。よって哲学は難しい。2017/01/12