出版社内容情報
富久(桂文楽演) 黒い手帳(久生十蘭) スペードの女王(プーシキン) 五万ドル(ヘミングウェイ) 闘鶏(今東光) 最後の一句(森鴎外)など21篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
55
『ちくま文学の森』は、筑摩書房が1988年から刊行したアンソロジー。単行本は全15巻の美しい造本でしたが、今は全10巻の文庫が出ています。〈賭け〉をテーマにした国内外の21作品が収録されているこの本は、さすが筑摩書房というチョイス。翻訳ものはマーク・トウェイン、チェーホフ、アポリネール、プーシキン、日本人作家では久生十蘭、獅子文六、森鴎外、五味康祐、菊池寛など。古くてすんなり入りにくい話もあるけど、これで初めて(そして唯一)接した作家もいました。大半が会話だけで進むヘミングウェイの『五万ドル』が好きです。2014/12/23
まかあい
4
賭け事は全くしませんが、チェーホフ、ヘミングウェイ、菊池寛の作品には、まるでギャンブルをしてるようにドキドキした。2015/11/29
もなおー
4
賭けと人生にまつわる短編を集めたアンソロジー。賭けでしてやった者、賭けで命を落とした者、賭けで人生を捨てた者、賭けに勝ちすぎて一線を越えた者など、様々な悲喜こもごもの有り様がうかがえる。2015/06/06
えっ
1
面白いものが多くて嬉しかった。断トツで好きだったのが闘鶏。ジャガジャガした河内弁と闘鶏の熱狂がかっこよく熱い。次いでプーシキンのスペードの女王、やっぱり素晴らしい。神西清さんの美しい文章も。チェーホフ久生十蘭は「らしさ」と意外さの具合がいい。「アフリカでの私」と「塩百姓」も鋭利かつおかしみがあって好き。このおかしみに、井上ひさしが編者に居る気配を感じるかもしれない。ちがうか。 人生の何かに賭ける話も面白かったけど、賭博が出てくる話がワクワクして良かったなと思う。2023/08/02