出版社内容情報
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内容説明
オーストリアの一地方豪族から、ヨーロッパのみならず新大陸までを影響下におく大帝国を築き上げたハプスブルク家。絶頂の極みにあって、光輝くほどに翳もまた深くなる。帝国のそこかしこには衰退の兆しが見え隠れし、やがてはそれに呑み込まれることとなった。王権を可視化する装置としての祝祭空間につかの間の栄光を幻視し、歴史の転換点で繰り広げられた人間ドラマを、愛情をこめて描き出す歴史エッセイ。
目次
アレゴリー船よ、さらに彼方へ!―カール五世、壮麗に逝く
スペイン・ハプスブルクの光と翳―フェリペ二世と異母弟ドン・ファン
結婚、政略、ああ血脈!―オーストリア大公カールの嫁取り
メラヴィリア―レオポルト一世のバロック
女帝マリア・テレジアの娘たち―女帝を巡る「世界史としての個室」
ゲーテが目にした戴冠式―帝国消滅、吾ガ事ニ非ズ
異人の妻子―ナポレオンの妻と忘れ形見ライヒシュタット公
死への儀式―マクシミリアン最後の一日
おもしろうてやがてかなしき…―会議は踊った
髑髏から逃げる!―流浪の后妃エリザベート
祝祭する王家の身体―フランツ・ヨーゼフ一世皇帝陛下御在位六十年慶祝パレード
オーラが消えた―フランツ・ヨーゼフ一世とともに壊れゆく帝国
著者等紹介
菊池良生[キクチヨシオ]
1948年生まれ、早稲田大学大学院博士課程単位取得後退学。明治大学理工学部教授。専攻はオーストリア文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クマケン
1
ハプスブルク家の列人記。列人を通して、ハプスブルク家の祝祭や儀礼、没落していくハプスブルク家の過程を華麗な文章で伝記のように語る。ただ、ハプスブルク家が何をしたのかや、神聖ローマ帝国はどのように崩壊したのかを学びたい人には薦めない。作者の想像や仮定をもとに、この人物はこのような人だという感じで進む。 以下記載人物と出来事(カール5世、フェリペ2世、カール2世、レオポルト1世、マリアテレジアの子女達、ナポレオンに嫁いだマリー・ルイーズ、マクシミリアン、ウィーン会議、エリザベート、フランツ・ヨーゼフ)。2023/05/17
韓信
1
カール5世からフランツ・ヨーゼフ1世まで、ハプスブルク家君主とその周辺人物らの列伝や祝祭の再現をとおして、帝国の変容・崩壊を描く。弟ドン・ファンらをとおして間接的に描かれるフェリペ2世の陰鬱と凄惨や、ウィーンでは皇帝からの遠近で親近がはかられベルサイユでは時間コードではかられるという対比が興味深く、より深く知りたくなった。フランツ・ヨーゼフ1世の在位60年慶祝パレードにおける、その予算を福祉に回せという反対派と、経済的効果を盾にする推進派のせめぎあいや、観覧席の狭さ等のゴタゴタはまるで東京五輪のようで草2022/05/28
ゆきた
1
入門書には向かない内容。まず、家系図の提示がなくわかりにくい。ハプスブルク家の人間について代を追って説明するんだから、必須なはず。あと、どのように情報を読者に見せていくか、もう少し考えた方がいい気がする。書き方で評価が良くなりそうな予感2012/07/23
チャイ
1
あらかじめハプスブルク家のことについて詳しくないと難しい本かも。文章も難しかったが、面白かった。2009/11/05
ka-ko
0
16世紀から続くハプスブルク家。マリアテレジアやエリザベートなどを知っていましたが、ハプスブルク家や貴族社会の選民意識は強かったと思います。マクシミリアン等悲劇の主人公、長男と次男の待遇格差すごいですね。2012/10/17