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ちくま文庫
しくじった皇帝たち

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  • サイズ 文庫判/ページ数 215p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480423993
  • NDC分類 288.492
  • Cコード C0122

内容説明

父から受け継いだ巨額の富を浪費し、建国から二代で亡国の憂き目に遭った隋の煬帝。悪逆非道の暴君で名高いが、父を殺し帝位を奪ったのは事実か。祖父から帝位を継ぐや否や奸計を巡らし次々と叔父たちの王国を取り潰した明の建文帝。燕王率いる叛乱軍の侵攻による落城の猛火の中を逃げのびたとされるのは事実か。国家経営をしくじった二人の皇帝―その興亡の顛末をホントとつくり話の襞にわけいり、史実の闇に光をあてた歴史評伝。

目次

隋の煬帝(さあ煬帝のお話のはじまりだ;煬帝はホントに「父殺しの大罪」をおかしたのか;父の遺産を気前よく使って;大臣が叛乱をおこしたl乱世の英雄はこの人、李蜜だ;みじめな煬帝の最期)
露伴『運命』と建文出亡伝説(『運命』と建文出亡伝説;「自跋」について;『駿台雑話』の建文帝;建文帝はどうなったのか?)

著者等紹介

高島俊男[タカシマトシオ]
1937年生れ。兵庫県相生出身。東京大学大学院修了。専攻中国文学。大学教員を経て現在フリー。主な著書に『水滸伝と日本人』(第5回大衆文学研究賞)、『漱石の夏やすみ』(第52回読売文学賞)、『本が好き、悪口言うのはもっと好き』(文春文庫、第11回講談社エッセイ賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Aminadab

21
前半が隋の煬帝、後半が明の建文帝の話。著者のねらいは、事件が根本史料としての正史にどう書いてあるかに遡って検討すること。煬帝は『隋書』しか史料がないからまさにそれ。建文帝は、幸田露伴が『運命』で作品化した「出亡(実は死んでいなかった)」伝説について、トンデモ説なんだが意外にも『明史』が半信半疑の立場だ、と指摘する。後半は露伴論としても秀逸。ものすごい博識で、誰も読まないような本まで読んでいて、何事についても滔々と何時間でも話せるのだが、その知識に整理がついていない、ないし整理する気がない人なのだ。2022/02/18

in medio tutissimus ibis.

6
亡国の皇帝がいるかと思えば、そのしくじりに乗じて乱世に立ちながらもしくじって、歴史の闇に消える皇帝たちがいる。あるいは、そんな彼らに相対し、後世という玉座から睥睨し、山と積んだ史料を兵糧に、剣よりも強いもので武装して――そしてしくじる皇帝もいる。きっといつか、私もそんな一人だった。2018/07/27

ダージリン

5
随の煬帝と明の建文帝を取り上げる。二人とも二代目皇帝で、帝位を追われた共通性を持つ。煬帝=悪辣な人物というのは、後世がつくりあげた根拠ないイメージだと斬って捨てる。日本との関わりで、遣隋使の話が出てくるかと思ったが、このトピックは全く出てこなかった。建文帝の方では、建文帝を扱った幸田露伴の小説「運命」が中国の史書の引き写しにすぎないという批判を展開。幸田露伴は好きで、「運命」も面白かったので、そこまで言わなくてもいいのにというのが率直な感想。まあこういう語り口が著者の魅力ではあるのだが。2020/01/29

ひよピパパ

5
隋の二代目皇帝煬帝と、明の二代目皇帝建文帝を取り上げて楽しく読ませてくれる。軽快なリズム感のある文体に含蓄があり、勉強になる。煬帝での解説は、これまでの歴史家による酷評に待ったをかけ、あたたかい眼差しで捉えられていて面白かった。また、建文帝が燕王棣(のちの永楽帝)に攻められるも逃れて生きのびたとする「建文出亡」伝説があること、そしてをそれを幸田露伴が『運命』という作品に仕立てたことを本書で知った。文豪と呼ばれる幸田露伴もその実は・・・・・・。意外で楽しかった。2019/07/27

ワタシ空想生命体

3
うひゃあ『漢文口調の荘重体』を日本語の文章で最高とものと思うのは、幼稚さの証明だとまで言ってる。2013/03/02

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