内容説明
馬の蹄の跡が池になったり、井戸が龍宮城につながっていたり、山どうしがケンカをしたり…。現代的感覚からすれば荒唐無稽な民話の数々。しかし、日本人なるがゆえに、腑に落ちてしまう世界でもある。そこに日本人的思考回路の一端が表れていると見ることもできるだろう。郷土研究の祖によって分類された二百五十余篇の伝説は、日本における民話のほぼ全ての形式と種類をそなえている。語り手の意識や、取り巻く生活環境により変化しやすい伝承を、ムラ社会がまだ十全に機能していた頃に記録した貴重な一書。日本の心の原風景として、これからも大切にしたい記念碑的作品。
目次
説明神話的伝説
巨人伝説及両岳背競伝説
九十九伝説
樹木伝説
石伝説
城跡伝説及長者伝説
金鶏咒咀伝説
椀貸穴伝説
抜穴伝説
沈鐘伝説〔ほか〕
著者等紹介
高木敏雄[タカギトシオ]
1876‐1922年。熊本県生まれ。東京帝国大学卒業後、東京高等師範学校、大阪外国語学校教授を歴任。わが国の神話・昔話・伝説研究の先覚者。とくに、比較神話学的方法による研究の基礎を築いた業績は、高く評価された。1913年、柳田国男とともに雑誌「郷土研究」を刊行し、日本最初の民俗学専門誌として、後世に多大なる影響を与えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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