ちくま学芸文庫<br> 江藤淳コレクション〈1〉史論

  • ポイントキャンペーン

ちくま学芸文庫
江藤淳コレクション〈1〉史論

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 538p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480086518
  • NDC分類 918.68
  • Cコード C0195

内容説明

昭和を代表する批評家、江藤淳の作品のうち文明論的な歴史意識のもとに論じられた作品を収録。他者に対する責任感と使命感を鮮やかに描く「エデンの東にて」、政治・外交・軍事において虚構性と遊戯性がもたらす無責任を論じた「『ごっこ』の世界が終ったとき」、勝海舟や西郷隆盛ら明治という時代の建設者に共感を寄せる「“みンな敵がいい”の哲学」や「南洲残影」、アメリカによる日本の占領史と占領下における言語統制・検閲を克明に再現・解釈した「閉された言語空間」など。強靭な言語観に裏打ちされた鮮烈な論考のかずかず。

目次

エデンの東にて―世界と自分に関する二つの対話
「ごっこ」の世界が終ったとき
“戦後”知識人の破産
新しい国体
二つのナショナリズム―国家理性と民族感情
明治の一知識人
勝海舟
“みンな敵がいい”の哲学―勝海舟の思想と実践
南洲残影(抄)
閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本
他人の物語と自分の物語
『戦艦大和ノ最期』初出の問題
『氏神と氏子』の原型―占領軍の検閲と柳田国男
天皇とその時代(抄)

著者等紹介

江藤淳[エトウジュン]
1933年生まれ、文芸評論家。1957年、慶応義塾大学卒業。1956年、結核療養中に『夏目漱石』を執筆、1958年『奴隷の思想を排す』で新進評論家としての地位を確立。1962年より2年間在米。1976年、芸術院賞受賞。1999年没

福田和也[フクダカズヤ]
1960年生まれ。慶応義塾大学大学院修士課程修了。現在、慶応義塾大学環境情報学部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

 

2
再読。『閉ざされた言語空間』を代表される「検閲」以前/以後を精神分析的な「読み」の過程によって戦後的なシステムを炙り出していくのが面白い。ただ、これに影響を受けた加藤典洋にしてもそうだが、やっぱり徹頭徹尾疎外論の枠組みなのが駄目。結局、疎外論の切り口からでは戦前へのノスタルジーしか行き着かない。江藤は「ごっこ」遊びを批判するが、「ごっこ」の終わりは、やはりまた新たな「ごっこ」の始まりに過ぎない。始末が悪いのは、自分は「ごっこ」ではないと嘯くやつだけだろう。そして、それは日本に限った話ではない。2023/11/28

ミスター

1
江藤淳の『ごっこの世界が終わるとき』はよく言及されているが、改めて読んでみると一般に言われているような読解とは違っているように思えた。江藤はごっこが常に終わるものだと言っている。鬼ごっこをしていたとしても、それはいつか終わり子供達は家に帰る。一人の子供が怪我をすれば「ごっこ」の結界は崩壊し、生々しい擦り傷とともに白けた現実感が登場する。だから江藤がいう「ごっこ」とは終わらせるものではなく「終わる」ものなのだ。しかし人は多くの場合「ごっこの終わり」を見ないでいる。それこそ江藤が批判したものではないか。2019/12/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/517830
  • ご注意事項