ちくま学芸文庫<br> 「宣長問題」とは何か

ちくま学芸文庫
「宣長問題」とは何か

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  • サイズ 文庫判/ページ数 234p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480086143
  • NDC分類 121.52
  • Cコード C0110

内容説明

「宣長問題」とは、宣長とともにたえず近代に再生する日本の自己同一性をめぐる言説の問題である。「宣長」はいつでも人々の関心のうちに存在しても、しかし「宣長問題」はない。この欠落がもつ思想上の意味の重大さを指摘しながら著者は、宣長におけるあの再生する言説の初源的な成立を解き明かす。「やまとことば」という日本の言語的同一性が、宣長によっていかに危うい前提に立って生み出されていくかを鮮やかに分析していく。その作業は近代日本の核をなす日本的内部を成形するものへの徹底した批判的な言説分析の実践である。それは明日に向けて、私たちの視座の転換を促すものである。

目次

序 「宣長問題」という視角
「宣長問題」とは何か
宣長・自己のイマーゴ
『古事記伝』・自己同一性の言説―美しき「口誦のエクリチュール」復元の幻想
「やまとことば」成立の語り
『古事記伝』と『古史伝』・その連続と差異
神とカミの注釈―国学的な神言説の成立
平田篤胤国学の神学的再構成
結び 宣長を読むこと―小林秀雄『本居宣長』再読・「内からの読み」とは何を読むのか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ikkoku-Kan Is Forever..!!

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「宣長問題」の元ネタが加藤周一の「ハイデガー問題」を捩ったものだったとは。しかし、その驚きも束の間である。加藤がある種の「矛盾」と解せる「二面性の問題」を言ったのに対し、子安先生がそれを否定し、むしろ宣長の「本質的問題」として捉えたこと。この瞬間、私が思っていた「理屈」に対する「理屈じゃなければ何か?」という宣長への課題をどう位置付けるかが開始冒頭、私の脳裏に浮かび、それを考えながら読んだ。それで言うと、先生の示す宣長は大凡確信犯のようである。その点、もう少し、先生の著書を拝読して篤胤との関係等考えたい。2012/03/11

ちーけん

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緻密な科学的実証性を誇る『古事記伝』を著した本居宣長が、その一方で狂信的な皇国主義を唱えたのはなぜか―。評論家・加藤周一氏が提起した「宣長問題」だが、著者は、宣長は緻密な実証性ゆえに「古事記」の実存性を全肯定し、狂信的な皇国史観に陥ったとし、そもそも「宣長問題」の成立自体を否定する。真の「宣長問題」とは、現代日本で「日本とは何か」を問いなおす際に、かようにも必ず本居宣長の言説が浮上してくることであると。「日本意識」を形作った本居宣長を従来と正反対の視点で捉えなおす一冊。すんごく難解ですが面白いです(笑)。2010/08/29

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