内容説明
嘉永元年(1848)に長崎の上野俊之丞によって、西洋の新文化の香りも高くもたらされた写真(ダゲレオタイプ)は、写ることへの驚きと喜びをもって受け入れられた。外国人から取得した写真術を模索しつづけた湿板写真時代の上野彦馬・下岡蓮杖らの辛苦、激動の幕末・明治初期の日本を鮮やかに現在に残し、さらに商業写真・芸術写真として広く大衆に親しまれていった乾板写真にいたるまで、写真にまつわるさまざまなエピソードと写真師たちのドラマを織りまぜながら綴る。貴重写真200点あまりを収録。
目次
銀板写真の時代
銀板写真―最初の成功
銀板写真―初めて写された日本人
湿板写真のはじめ
職業写真家の誕生
写真師開業―下岡蓮杖
幕末の写真師たち
湿板写真 補遺
明治の写真
明治の上野彦馬〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
義視
1
古写真を勉強したいと思ったら必ず読むべき必修の一冊。自分が研究していたときは、これをボロボロになるまでテキストとして使い倒しました。名著です
勝浩1958
1
掲載されている写真だけを唯々見つめるだけでした。圧巻は「日露戦争 二元帥六大将」(明治38年)と題する一枚の写真。そこには、山縣有朋、大山巌や乃木 希典の姿がある。それともう一枚は「遣米使節 新見豊前守一行」 (万延元年1860年)。侍が大小を挿して、アメリカに渡っている事実。身体の大きさの違いも歴然としている。これらの写真を観るかぎり、目鼻立ちはけっこうはっきりしていて、ビゴーが描くキツネ目で出っ歯の日本人とはだいぶん違うのだが・・・。2012/02/11
yori
1
★★★★★ 幕末・明治に生きていた人がその空気のまま写真に写っていて、時代を超えて親近感が勝手にわいてくる。2010/03/01
いちはじめ
1
幕末に日本に入ってきた写真術の歴史を明治中期まで追う。二〇〇点以上の写真が収録されているので、ただ眺めるだけでもなかなか面白い2003/06/18