内容説明
1945年3月、上海。革命と反革命のカオス、酸鼻をきわめる近代日中交渉の修羅場―青春の時をそこに持った著者が、十年後の中国再訪直後に執筆した本書は、「中国について日本人が、戦後に書いた、もっとも美しい本のひとつ」(大江健三郎)であり、また「苦渋のあじわいをひそめた本」(同)である。現代日本人にとって中国体験とは何か、中国を理解するとはどういうことなのかを、深く多様に問いかける希有のエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エリ本
4
再訪した上海で著者は戸惑う。当時の面影が全くない上海。そこは混沌とした奇怪な半植民地都市ではなく、今を生きる為だけに作り替えられた機能的な都市があるばかりであった。たとえ思い出したくない過去であっても、どこかに面影があってほしい、そして人々の中に静かに存在していてほしいという著者の願いは叶わなかったようだ。なにか、日本にはない中国のしたたかさを感じました。2020/04/27
波 環
2
何度目かの再読。この人の著書はすごく栄養があって美味しいのだけど、堅くてうっかりすると歯が折れる木の実。特にこれはストーリーがなく随筆、随時思い出されることをミルフィーユみたいに積み重ねているので、うっかり読むと迷子になります。終戦14年後、かつて住んだ上海を訪れ、現代引き続きあるの日中問題、経済、軍事、人口など諸問題に想像を及ぼしていることに改めて驚きます。体験者であり予言者である堀田。2014/02/04
あ
0
この人の本を読むたびにものごとをむずかしく考えてる人だなあと思いますが、普段こう思わされるともっとシンプルでいいのにと言いたくなるのですが、この人に関しては別で僕ももっとしっかり考えてかなきゃなと思う2017/08/02