内容説明
人類史とともに古い結婚の歴史。結婚はまた個体の人生史上の大切な節目でもある。では、日本の古代社会では、その「婚姻」や「性」をどのように考えていたのだろうか。『源氏物語』『蜻蛉日記』や『万葉集』などの文学作品から、古代社会の人々が自分たちの結婚をどう考え、どう表現したかを考察する、画期的古典文学論。
目次
少女と結婚
少女の物語空間
源氏物語の性、タブー
蜻蛉日記と平安朝の婚姻制度
万葉集の結婚
日本の性の基層を探る
女性の霊的優位覚え書
タブーと結婚
“うた”と愛―「うつくし」「うるはし」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
5
構造主義人類学や民俗学を援用した論考集。「折口信夫が、一箇月のはじまりである「ついたち」の意味を、古代の高級巫女の月経がはじまるときのことであった、と示唆的に述べているのは、最近、国語学者の支持があったようである。平安時代の用例によると「ついたち」は一箇月の上旬の数日をさすようであるから、ちょうど生理期間ほどになる。その期間、宮仕えの女性は、里に退出するか、局にこもっていた。これは物忌みであったことを意味しよう。物忌みとは悪霊の接近をおそれてある空間にとじこもることで、その原型は、神々との交会であった」2024/03/19