内容説明
連合赤軍事件からポル・ポト派による大虐殺にいたるまで、かつてないグロテスクな相貌を見せた〈近代〉の病理―、テロリズム。ドストエフスキー、カミュ、サルトル、埴谷雄高、高橋和巳らの思索の上に立ち、テロルという観念的暴力を喚起し続ける〈観念的なるもの〉の発生現場に遡行して、その発生史的必然性を解続する、壮大かつラディカルな観念批判論。
目次
1 自己観念
2 共同観念
3 集合観念
4 党派観念
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
karatte
13
再読。連合赤軍事件を契機に書かれたとのことで、それを念頭に置いての表題なのだろうけど、やはり内容に合致しているのは副題のほうだ。『群衆の悪魔』を読んだ直後だったので、冒頭や随所に現れる革命家ブランキの記載がよりリアルに感じられた。共同観念、自己観念から党派観念へと不可避的に顛倒していく運動論理と、それに対抗せんとする集合観念の象徴的暴力。次に再々読した頃には、更なる発見が待っているのだろうか。2017/12/17
冬佳彰
3
これを読んだのは、就職して以降だったか?笠井潔という著者であったから読んだという記憶がある。著者の背負っている時代背景を俺自身が実感していない面もあり、部分的には理解できなかったが、なんとなくコリン・ウィルソンの「アウトサイダー」を連想させる射程の広い本であった。今となっては、「なぜ、彼の、その時代の精神性や状況にとどまったような言説を繰り返す必要があるんだろう?」と疑問もあるが、俺には分からない、大きな引っかかりや問題意識というものがあるんだろう。とにかくデーモニッシュな本であった。
amplecutter
2
共産主義思想にもテロルにも非常に無知な状態で読みはじめたが、不思議に引き込まれる文章だった。小説も読んでみたい。2014/05/10
karatte
2
作者の実践的方法論を示した著作が『バイバイ、エンジェル』だとすると、こちらは理論的側面を記した著作。どちらが欠けても片手落ち。
罵q
0
自己観念と共同観念に同時に対抗する媒体として集合観念が提起されているが、これが資本主義と如何に関わるのか、著者のアナルコキャピタリズムと合わせて検討する必要があるように感じた。2019/10/18