ちくま文庫<br> 情痴小説の研究

  • ポイントキャンペーン

ちくま文庫
情痴小説の研究

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 288p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480036674
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0195

内容説明

情痴小説とは、ダメ男小説だ。主人公の特徴は主体性に欠けること、優柔不断であること、反省癖があること、自己弁護がうまいこと、何事にも熱中しないこと。そんな中年男の浮気話に嫌気がさしながらも心がなごんだりするのは、それが自分の胸の裡を映す鏡だからかもしれない。徳田秋声から渡辺淳一まで、33の作品を読みこむうちに見えてくるものは―。

目次

情痴小説とは何か
身勝手な男の本音―徳田秋声『仮装人物』
泣き虫男の独善―田山花袋『蒲団』
陰気な追跡者の恋―近松秋江「黒髪」連作
若い女への執着―高見順『生命の樹』
最後の恋の行方―石川達三『四十八歳の抵抗』
女好きの色嫌い―北原武夫『情人』他
憎々しい男の造形―丹羽文雄『献身』他
不思議な男女たち―武田麟太郎『銀座八丁』
わがままなヒロインたち―舟橋聖一『蜜蜂』〔ほか〕

著者等紹介

北上次郎[キタガミジロウ]
1946年東京都生まれ。冒険小説評論家。明治大学文学部卒。「本の雑誌」顧問・目黒考二、さすらいのギャンブラー・藤代三郎は別名
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ウチ●

1
檀一雄「火宅の人」の上巻を読み終えた時点でこの本に手を付けた。思ったとおり「火宅の人」も取り上げられている。ネタバレされたらやだなぁ、と思いつつ読んだが、大丈夫でした。(類似の情痴小説から際立っている、と褒められていましたね。)作者・北上次郎が目黒考二と同一人物とはつゆ知らず。「極めて個人的な中年男論、あるいは初老男論。」である、と告白されてます。私の琴線に触れる作品も多数掲載されていましたが、田山花袋「布団」、森田草平「煤煙」、瀬戸内晴美「色徳」、三浦朱門「犠牲」他、吉行淳之介「暗室」、等が要チェック!2014/02/04

小鳥働

0
実際に情痴小説を読んでみたいという心境ではないのだが、それでもこの本は面白い。中年ダメ男たちへの共感と、軽蔑と、ツッコミ満載の一冊だ。研究と言っても堅苦しい内容ではないのである。取り上げられている本の知識も興味も(あったほうがいいのかもしれないけど)無用。しかしやはり楽しいだけじゃなく、北上次郎さすがすごいと思わされるのは、120-124ページだ。

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/30187
  • ご注意事項