内容説明
日露戦争中、ロシアの内乱を企て日本を勝利に導いた男、怪男児明石元二郎の若き日の物語。明治23年、ひそかに来日し暗躍していた怪僧ラスプーチン。彼はロシア皇太子襲撃を画策していた!?チェーホフ、二葉亭四迷、乃木希典、森鴎外までをも巻き込んで日本とロシアの大怪物の対決は続く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きょちょ
14
風太郎は個性的な人物を描くのが実に巧い。ここでは、後の日露戦争で密偵として活躍する明石元二郎、神道占の稲城黄天、そして快僧ラスプーチンと個性派3人が登場。前半の元二郎と黄天とのやりあいは面白いのだが、後半は期待したほどこの3人で大きなぶつかり合いがなかった。結末はやや中途半端かな。途中登場するチェーホフは微笑ましい。 ★★★2015/08/31
getsuki
13
ラスプーチンが登場するのは物語の後半から。序盤から明石元二郎の怪男児ぶりが話を盛り上げる。怪しげな部分を取っ払ってしまうと、美貌の女性・雪香を巡る恋の鞘当てだな(笑)ラストが中途半端なのが……つくづく惜しい。2017/04/14
スプリント
11
ラスプーチンと明石元二郎を中心に乃木希典、二葉亭四迷、森鴎外、はてはチェーホフまで登場します。快男児明石元二郎の活躍を期待しますが、中盤以降勢いが止まってしまったのが残念。やや消化不良の読了感。2018/09/29
ホームズ
9
前半の展開は良かった(笑)明石元二郎のキャラクターや乃木将軍、二葉亭などいい感じでしたね(笑)雪香との関係や雪香の血の話とか面白くて一気に読んでいたんですが…。ラスプーチンが登場してからがいきなり失速。結末も不満だし。う〜んこの続きは無いんですよね。しっかり決着をつけて欲しかった。このちくま文庫のシリーズ面白そうだから少しずつ読んでいこうかな(笑)2011/06/05
あかつや
8
日露戦争の諜報戦で活躍した明石元二郎の若き日の物語。とはいえラスプーチンが実は日本に来ていて彼と対決していたという純然たるフィクションで、その大胆さがまさに山風だな。屁ばっかりこいてる明石の豪放磊落な人物像がとてもかっこよかった。でもやっぱり怪僧ラスプーチンが一番すごかったなあ。真ん中くらいまでラスプーチンが来ないからもう出てこないのかと思ったけど、出てきた途端物語の中心にどっかと居座って他の人物の存在感まで食ってしまった。それまで幅を利かせていた稲城黄天なんて一気に三下扱い。さすがの明石もあれは無理だ。2022/06/22