内容説明
物と企業だけの海外進出について、“We are the world”の歌詞について、老人海外移住計画の奇怪さについて、去っていった多くの文学者について…。10年間のスペイン在住経験をふまえ、日本においては誰も不思議に思わなくなった現象をさらりと、ちくりと批評するエッセイ集。『ちくま』連載36回分を収録。
目次
誰も不思議に思わない
古市(町・村)復旧コンクール
歴史は繰り返さない
大失望
ウルティマ?
カルメンとフラメンコなるものについて
ア・コーラス・ライン
ホタルとカラス
ホテルと法王ボニファティウス8世との関係
単位について〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼっせぃー
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『そうして、氏の『本居宣長』が出たとき、宣長の原文章と対照をしながら、一カ月がかりでこれを読み、その後に小林氏に会ったときに、「あなたの宣長さんを読みました。引用されている宣長の文章には、悉く感服しましたが、それにつけてあるあなたのコメントは、よくわかりませんでした。妙な神秘化はいけませんよ」と率直に私が言った。氏は、しばらく黙っていてから、「君はひどいことを言うね。引用も芸のうちだと言うのかね」と言った』『本居宣長』を書いていた頃の小林秀雄にこれだけのことを言ってスカせる人は中々いなかったのではないか。2023/11/06