内容説明
田植えや盆踊り、祭礼など、日々の生活と労働のなかで、おおぜいの人々の間に歌いつがれてきた郷土民謡。民謡は文字や楽譜をなかだちとせず、口から耳へと直接に伝承された唄であり、そのひと唄ごとに本来の用途と人々の信仰があった。民謡は、どのようにして生まれ、変化し、滅びてゆくのか、生活のなかにおける民謡の役割とその範囲・分類を示し、起源と変遷を論じた『民謡覚書』『民謡の今と昔』。全国各地に伝わる郷土舞踊の起源と信仰について述べた「踊の今と昔」「獅子舞考」「掛け踊」「風流と我面白」などの諸論考を収録する。
目次
民謡覚書
民謡の今と昔
踊の今と昔
獅子舞考
掛け踊
風流と我面白
郷土舞踊の意義
仮面に関する12の所見
田植のはなし
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Soma Oishi
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人間の自然状態と民俗学の可能性 人間は反省することにより帰納法で世界を認識する。それによって改善される。正しい認識があるとすればそれは帰納法により世界を認識することである。反省しながら世界を認識する。そういった反省に依る自然状態をルソーは社会主義と言った。それに対しホッブスは人間の自然状態を狼とリヴァイアサンであるといった。それは反省を欠いた自然状態である。これは非常に対照的である。一方は反省に依り一方はその欠落に依り自然状態を認識している。 柳田国男の民俗学は帰納法の学問である。帰納法は反省に依2014/11/17